SaaS戦国時代、後発ベンチャー「巨額調達」で追撃 中堅人材会社から独立したジンジャーの勝算

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SaaS企業として2022年最大規模とみられる51億円を調達。過当競争になりつつある市場で”後発”のジンジャーはどう戦うのか。

加藤賢CEO(写真中央)が率いるバックオフィス業務のSaaSを手掛けるjinjer(ジンジャー)は3月に約50億円を調達。資金調達を主導した香港のファンド、タイボーン・キャピタル・マネジメントで日本株投資責任者を務める持田昌幸氏(写真右)らが社外取締役に就いた(写真:jinjer)

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さまざまな法人向けサービスの名前が飛び交う、タクシー内ディスプレーのCM。2022年初頭からこの”CMの海”に飛び込んだのが、人事や経理、契約、コミュニケーションのSaaS(Software as a Service、クラウドサービス)を手がけるベンチャーのjinjer(ジンジャー)だ。

CMには「ジンジャー部長」というキャラクターを登場させ、これまで公開している4本のタクシーCMでは社名を30回以上も連呼。会社の認知度を上げることを徹底している。

2022年3月には香港の1兆円ファンド、タイボーン・キャピタル・マネジメントや金融大手のSBIグループなどを引受先とする第三者割当増資で約51億円を調達すると発表。SaaS企業としては今年最大規模とみられる。

人材企業から「独り立ち」

実はジンジャーは、ゼロから立ち上げたベンチャーではない。2016年に中堅人材会社ネオキャリアが新規事業としてまず勤怠管理のサービス「ジンジャー勤怠」を開始。その後、ビデオ会議や人事管理、経費精算、電子契約などに広げてきた。

導入企業が広がる一方、ネオキャリアの主戦場である人材業界にはコロナ禍が直撃。ジンジャー事業の人員採用やマーケティングに投資する余力は消えた。ネオキャリアの共同創業者でもあるジンジャーの加藤賢CEOは「コロナ禍以降、自分たちのセールス力だけで伸ばしてきた」と話す。

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