ついにECBも量的緩和決定、国債買い入れ

債務不履行時のECBの損失は限定的

 1月22日、欧州中央銀行(ECB)は、国債買い入れ型の量的緩和(QE)の実施を決定した。写真は2014年8月、独フランクフルトのECB本部で撮影(2015年 ロイター/Ralph Orlowski)

[フランクフルト 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は22日、国債買い入れ型の量的緩和(QE)実施を決定した。買い入れは月額600億ユーロのペースで3月に開始、2016年9月末まで継続する。景気支援とデフレ回避に向け、残された最後の主要金融政策の実施に踏み込む。

買い入れ額には既存のプログラムも含まれる。民間資産の買い入れと銀行への数千億ユーロの低利融資に加え、国債買い入れを実施するとした。

来年9月までに1兆ユーロ以上の資金が供給される見通しだ。

ドラギ総裁は記者会見で「この拡大プログラムの下、公的、および民間部門の証券の買い入れは、合計して月額600億ユーロとなる」と表明。「買い入れは2016年9月末まで実施されることが意図されており、インフレ動向の持続的調整が確認できるまで継続される」と述べた。

国債買い入れは、各国中銀のECBへの出資割合に応じて行われる。ドイツのような経済規模の大きい国の方がアイルランドなど小規模な国より国債の買い入れ額が大きくなる。

金融市場はECBの決定を好感。欧州株は7年ぶりの高値をつけたほか、ユーロ圏国債は軒並み利回りが過去最低を更新。ユーロは対ドルで11年ぶり安値をつけた。

アリアンツ・グローバル・インベスターズの債券スペシャリスト、マウロ・ビットランジェリ氏は「すべての視線がドラギ総裁に集中する中で、彼は投資家の予想以上の大きなバズーカ砲を放った」と指摘。決定は「欧州市場にとり歴史的な岐路」とした。

理事会前からECBが大胆な追加緩和に乗り出すとの観測は根強かった。スイス中銀はフランの対ユーロ相場上限の撤廃に踏み切ったほか、ユーロペッグ制を導入するデンマーク中銀は、QE決定の発表後、今週2度目となる追加利下げを実施した。

ECBの量的緩和、奏功するか

エコノミストは、買い入れの20%のみがECBの責任になるとしたドラギ総裁の説明に注目している。つまりユーロ圏諸国の国債がデフォルト(債務不履行)した場合、損失の多くは各国中銀の負担となる。

この点についてはユーロ圏の結束の原則に反し、高水準の債務を抱える国の財政をさらに圧迫する可能性があるとの批判が上がっている。

ドラギ総裁は、国債買い入れは法的に問題ないとの意見で理事会は一致したと指摘。即時発動の必要性を認める声が「採決の必要がなかったほど」大多数を占めたと述べた。

その上で「20%はリスク共有、80%はリスクを共有しないベースで行うことでコンセンサスがあった」と語った。

銀行筋によると、ドイツ、オランダ、オーストリア、エストニアの中銀総裁とラウテンシュレーガー専務理事の計5人が資産買い入れに反対した。

ただ、ユーロ圏の国債利回りは総じて過去最低水準にあり、ユーロもすでに対ドルで急落している。借り入れコストの低下と通貨安はともに成長を支援するが、いずれも一段の下げ余地がどの程度あるのか疑問が残る。

ドラギ総裁はECBに「プランB」はあるかと問われ、「われわれは『プランA』を提示した。『プランA』があるだけだ」と答えた。

またECBは成長の基盤を創造することはできるが、「成長加速には構造改革が必要。今度は政府が構造改革を実行する番だ。改革への取り組みが大きいほど、金融政策の効果も高まる」と政府をけん制した。

国債買い入れでは、ギリシャやキプロスなど欧州連合(EU)/国際通貨基金(IMF)の支援プログラムを受けている国の国債も対象となるが、「新たな要件が追加される」としており、より厳しい条件が適用される。

ECBはまた、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置くことを決定。上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。金利据え置きは予想どおり。

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