DeNA、「ベンチャー2社同時買収」の果実 新たなキュレーションプラットフォームを開始

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――そうすると、村田さんもペロリの社長を説得したのですか。

村田:それは説得しましたよ。もともとペロリはIPO(株式上場)を狙っていて、最初は買収される雰囲気ではなかった。友人として、経営者として、中川綾太郎と話をして、ディー・エヌ・エー側からも話をした。

 ――実際の買収シナジーは。

村田:イエモは2013年12月に設立した会社で、まだ序章。暮らしや家の情報をスマホに最適化した形でコンパクトに毎日配信することで、ユーザーに面白いと思ってもらうまではやってきた。今後、不動産のマッチングサービスを行う上で、ディー・エヌ・エーと一緒になることが強みになると思った。

不動産のように大きな業界でビジネスを展開するには時間がかかるし、資金力がないと最終ゴールまでたどりつかない。資金調達を繰り返しながら株式公開をを目指すよりも、資金力のある会社の下でサービスの開発に時間を割くことに私の興味があった。

自前の人材確保は難しい

もう1つは人材。スアートアップは優秀な人材を集めにくい。ディー・エヌ・エーはさまざまな経験を持つ人を中途採用しており、出向やコンサルティングでサポートすると言ってくれた。特に、携帯電話でサービスを使う人の分析やマーケティング力に長けている。従来のメディア運営は編集長の感覚みたいなものに依存しがちだが、ディー・エヌ・エーは数値化して分解しながらアクセス数字を伸ばしてくれるので、ありがたくてしかたがない。

ほかにも人事や総務、経理、広報といったオフィス分野の仕事は、ディー・エヌ・エーに任せる体制に切り替えた。自前で10人採用するとなると、50~60人の面接をしなければならず時間が取られる。こうしたシナジーを並べてみると、自前で10億円調達しても難しかったかもしれない。

――しかし、経営の自由度に制約が出てくるのでは?

村田:イエモはこれからルールを構築するフェーズだったので、親会社の人事制度や経費精算に合わせ、オフィスも同じ渋谷のビルに入った。一方でペロリは少し違う。道玄坂に拠点を構え、今後も別の場所に移転を計画している。彼らは独立性が高く、人事部門などバックオフィスも持っている。同じ時期に買収されたが、イエモは統合に近い買収で、ペロリは独立型で境界線をはっきり引いたスタイルだといえる。

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