転勤命令を拒否することはできるのか? あなたにも出来る!社労士合格体験記(第80回)

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恐ろしげな名称と指紋採取というので、皆が躊躇していました。でも、原田さんは持ち前の明るさとリーダーシップで、時間のない中、渡航チーム全員をうまく説得したのはさすがでした。

実は、日本に来る外国人にも無犯罪証明が求められる場面があります。日系3世が「定住者」のビザの申請をする場合などです。もし、ブラジルの日系3世であれば、ブラジル警察が発行する犯罪経歴証明書を提出しなければなりません。

96歳の祖母からもエール

博多の後は、大分県日田市の祖母を訪ね転職を報告。当時96歳の祖母はNHKラジオの大ファンで、「ラジオ深夜便」を聞きながらウトウトするのが日課でした。私が「地球ラジオ」を担当していたときは、生放送中にファックスでお便りを投稿してくれたこともあるくらいです。それでも、また新しい仕事に転職すると聞いても特に驚く様子はなく、体に気をつけて頑張りなさいとエールをもらいました。

明治生まれの祖母から見ればまだまだひよっ子の私ですが、ちょうど50歳の節目を迎えました。織田信長が好んだ舞の敦盛に「人間50年」(人間の一生はしょせん50年にすぎない)とありますが、昔であればひとつの人生を終えたことになります。そんな年に、私もメディアの職業を卒業することになりました。

転勤命令についての判例

さて、転勤の話が出ましたが、過去の判例を見るかぎり、使用者が業務上の必要性から労働者に配置転換なり、転勤を命ずることは原則として許されるというのが原則です。日本の労働契約は終身雇用制度を背景として、包括契約が主流になっています。したがって、職種や勤務場所を限定するような特約は結ばれておらず、その結果労働者側は「私は転勤できません」「私はこの仕事に限って従事します」というわけにはいかないのが通常です。

また、会社の就業規則には一般的な配置転換の条項があり、これによって労働契約上の合意がなされているという解釈もできます。有名な判例に、最高裁昭和61年7月14日第二小法廷判決の「東亜ペイント事件」があります。

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