2014年夏にロシアがクリミアに侵攻して以降、欧米諸国は、経済制裁と国際的孤立をもたらすことによりロシアにウクライナ東部の反抗勢力への支援をやめさせる戦略に頼ってきた。しかし、ここ最近のプーチン大統領による外交上の連勝は、同戦略が功を奏していないことを示している。
プーチン大統領は、欧米諸国が安全保障で大いに懸念する国々、特にイラン、北朝鮮、パキスタンとの間で大胆な施策を進め、最重要パートナーである中国に対しても、立場を優勢にしている。
ロシアはイランと合弁銀行を設立し、欧米諸国による経済制裁を気にせずに2国間貿易を拡大できる仕組みを築いた。ロシアは自国物資と引き換えに、イランから毎日50万バレル相当の石油を仕入れることが可能となる。
試みは何度も失敗
ロシア海軍がイランのカスピ海小艦隊と合同軍事演習を3日間行うなど、安全保障に関する協力関係も進展している。これまでロシアとイランの結び付きを弱める試みは何度も失敗してきた。ロシアの国連大使を務めるヴィタリー・チュルキン氏は2014年10月、イランとシリアを「当地域におけるテロリズムに対抗するうえで必然的な同盟国」と表現し、「イスラム国」に対する米国主導の戦略にこの2国を含めなかったことを非難した。
さらに、もし欧米諸国が核取引によりイラン制裁を弱めても、ロシア企業がイランの民間原子力セクターの主要外国パートナーであり続けることに合意。ロシアは今後、最低2基から最大8基までの原子炉建設でイランを支援する。
ロシアがブーシェルに建設したイラン初の原子炉と同様、今後造られる原子力発電所も国際原子力機関により監視される。しかし、ロシアはイラン人の原子力専門家をさらに育成することに同意しており、イランがウラン燃料棒の原材料を造ることに同意する可能性もある。
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