許されぬ原発攻撃、核不拡散体制にも影響 インタビュー/長崎大学核兵器廃絶研究センター 副センター長 鈴木達治郎

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すずき・たつじろう 1951年生まれ。東京大学工学部原子力工学科卒業。米マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。内閣府原子力委員会委員長代理を務めた。(撮影:尾形文繁)

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軍が原子力発電所を攻撃する前代未聞の事態をどうみるか。原子力政策や核不拡散政策などが専門の鈴木達治郎氏に今後の影響を聞いた。

──原発が攻撃対象になりました。

ロシア軍の攻撃は言語道断だ。そもそも原発は軍事攻撃を想定せずに建設されている。ウクライナには15の原子炉があるが、これほどたくさんある地域が戦争となって軍隊に占拠されるのは初めてだ。IAEA(国際原子力機関)によれば、ザポリージャ原発などでは原発の運転員などがロシア軍の支配下にあるという。専門家以外が原発を管理・運営すれば非常に危ない。

──1986年に大事故があったチェルノブイリ原発もロシア軍が占拠中です。

原発自体はすでに廃炉になっているが、まだ大量の放射性物質や使用済み燃料が貯蔵されているのでリスクは存在する。近辺にウクライナ全国の送電網などを管理する施設がある。ここをロシア軍が占拠して電力供給をコントロールする狙いではないか。

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