「V字回復で終わらせない」日立の決意 東原社長自ら現場を回り、飛ばした檄

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「14年度は売上高が9兆5000億円以上いくのではないか」と見込む東原社長

「V字回復までは赤字抑えたりすればいい。が、これから先はどうやったら成長できるか、自分の頭で考えることだ」。

日立製作所の東原敏昭社長は今年4月の就任以降、工場やグループ会社を回っている。重視する政策や考え方について説明する、「タウンホールミーティング」を開いているためだ。1回の参加人数は200~300人で、すでに約40回も開催した。それに加えて7月以降は、各事業の本部長や管理者5人ずつ集めた、「昼食会」も実施。「その5人が各現場に戻り、また5人に伝達する」(東原社長)。これらの活動を通じて、幹部から現場の一線の社員まで、成長マインドへの切り替えを狙っている。

日立の東原社長は12月17日、東洋経済などの取材に応じ、社長就任から現在までを振り返ると同時に、中期経営計画達成に向けて、その意気込みを語った。

今期は売上高が上振れの公算

前2013年度から始まった日立の中期経営計画では、15年度を最終年度とし、「売上高10兆円、営業利益率7%超」を目指している。13年度には売上高9兆6162億円、営業利益5328億円を叩き出し、23年ぶりに過去最高営業益を更新した。今14年度も売上高9兆5000億円、営業利益5800億円と、2年連続で過去最高益を更新する見込み。「今年度の仕上がりは9兆5000億円以上いくのではないかという見方をしている」(同)と、会社計画より上振れる可能性を示唆した。

日立は08年度、製造業で過去最大となる7873億円の赤字に陥った。そこから、社会インフラ事業に軸足を置くなど構造改革を進め、V字回復を遂げた。その後も安住することなく、改革路線を突き進んでいる。

今年に入ってから、2月には三菱重工業と火力発電で統合。今月16日には、スイスの重電大手ABBと、電力流通の高圧直流送電事業(HVDC)で、合弁会社の設立を発表した。提携を主導した中西宏明会長は、「何でも自前主義は効率が悪い」と言い切る。効率的に成長が見込めるなら、M&Aも厭わない。

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