アメリカ発のシェール革命によって、資源国経済が厳しい状況に立たされています。原油価格の下落の構図については、12月2日のコラム「アベノミクスのせいで庶民は豊かになれない」において、すでに説明をさせていただきましたが、今回の原油価格急落で大きなダメージを受けているのがロシアです。
すでに凋落の傾向は2013年にあった
ロシアは原油、天然ガスの生産量で世界1位、2位を争う資源大国で、GDPの約3割、輸出の約7割を石油ガス産業が稼ぎ出しています。国家の歳入の約5割がエネルギー収入によって賄われており、輸出の面においても約70%を原油や天然ガスといったエネルギー関連品に依存しています。
そのため、シェール革命によって原油価格が急落している今となっては、ロシアは国家財政が大きな打撃を受けるばかりか、経済成長の大きな押し下げ要因にもなってしまうのは避けられないでしょう。
それでは、今後のロシアはどのようになっていくのでしょうか。
ロシア国民が、2000年から続くプーチン体制を消極的であれ支持してきたのは、1998年に起きたルーブル暴落と国債デフォルトによって、ロシア経済がどん底まで落ちたトラウマから逃れられないからです。当時の貧乏な生活を耐えた苦しみを考えれば、国民の自由が強権で抑圧されるような政治でも、経済さえうまくいけばそれでいいと我慢してきたのです。
しかしながら、資源輸出に頼るロシア経済にはすでに2013年の時点で暗雲が垂れこめてきていました。詳しくは2013年6月20日のコラム「シェール革命に翻弄される国々」を参考にしていただきたいのですが、シェール革命を発端としたアメリカのエネルギー供給増加によって、世界中でエネルギー玉突き現象が起こり、ロシア産のエネルギーが市場から弾き出されるケースが散見されていたからです。
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