【映像解説】2011年も就職氷河期は続く--就職率回復が期待できない3つの理由とは?
大学3年生の就職活動が本格化している一方で、就職の決まっていない大学4年生がたくさんいる。2010年3月に卒業した学生の就職率は60.8%(前年は68.4%)。その後、就職戦線は厳しさを増しており、2011年3月に卒業する現4年生の就職率が60%を割ることはほぼ確実だ。
だが、厳しいのは現4年生だけではない。3年生(2012年3月卒)の就職も非常に厳しくなるだろう。就職氷河期はしばらく続く。
就職氷河期が続くのは、単に景気が悪いからではない。就職氷河期が続く理由は主に下記の3つだ。
(1)大学生の数が多すぎる
18歳人口のピークは92年。しかし、全国の大学数は92年の523校から20100年の778校まで255校も増加した。そして、大学4年生の数は92年の43万8000人から10年の54万1000人まで10万人以上も増加した。
もし、92年以降に大学を増さなかったと仮定してシミュレーションすると、2010年3月卒業生の就職率は75.1%だったことになる。これは、直近のピークである08年3月卒の69.9%を大きく上回る
(2)企業が厳選採用をするようになった
企業は採用の基準を厳格に設定して、そのレベルに達しない学生は採用しない。かってのように、とにかく数を確保するということは少なくなった。
ここで問題になるのが、学生の質。2010年の大学進学率は50.9%(92年は26.4%)。2人に1人が大学へ進学する状況では「大学生」に特別な価値はない。さらに、2002年から始まった「ゆとり教育」で全般的に学力が落ちている。
(3)外国人採用が増えている
日本企業が外国人留学生の採用を増やしている。企業は留学生の語学力、バイタリティを評価している。また、海外進出する際の先兵としても期待している。
2009年現在で、日本国内の外国人留学生は13万2720人だが、政府は2020年をメドに留学生を30万人とする「留学生30万人」計画を進めている。
さらに最近では、外国の大学に学ぶ、外国人の採用にも積極的な企業も増えてきた。
たとえば、日本企業が北京大学に学ぶ中国人を採用するために、中国で採用活動をするのだ。外国人が日本人大学生の就職を圧迫する傾向は今後ますます強くなる。
不況で就職氷河期というわけではなく、日本の構造的な問題が、就職氷河期を引き起こしているのだ。景気が回復しても、就職率が大きく回復することはない。学生の就活難はしばらく続く。
就職氷河期が続く理由について東洋経済HRオンラインの田宮寛之編集長が解説する。
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