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期待先行で市況反発も中国"鉄鋼淘汰"は難題 日本の粗鋼生産の3倍を超える過剰生産能力

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中央政府管轄の国有企業を統合で巨大化しても、過剰生産能力の解消には程遠い。

武漢鋼鉄集団の武漢の工場に積み上がる在庫。宝鋼集団との統合で能力削減はできるのか(Getty Images)

「鉄冷え」は終息に向かっているのか──。

鋼材市況は世界的に持ち直している。2015年末までの2年で半値近くまで下げたが、今年1月に中国が粗鋼生産能力を5年で1億~1.5億トン削減する方針を発表したのを機に反転上昇。その後いったん反落したものの、6月に中国鉄鋼大手の宝鋼集団と武漢鋼鉄集団が統合交渉を公表(9月に合意)して再上昇。足元は昨年末安値より4割強高い水準だ。

[図表1]
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夏以降は原料炭価格まで急騰。中国政府が炭鉱の操業日数を抑制(最近になって緩和)したためで、原料炭コスト高はメーカーには痛手。とはいえ、主原料の鉄鉱石は比較的落ち着いており、鋼材需要についても中国が持ち直すなど上向いている。

今年の新たな展開としては、鉄鋼の過剰生産能力問題がG7やG20の首脳会談で議論され、その解決に向け「グローバルフォーラム」という国際協議の場も設置された。

議論の焦点は、粗鋼生産年間約8億トンと世界の5割を占め、約4億トンもの過剰生産能力を持つ中国の構造改革だ。

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