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ガバナンス改革がミドルを変える 企業統治改革のオーソリティ 伊藤邦雄

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今年3月に表面化したセブン&アイ・ホールディングスの社長人事騒動では、社外取締役のキーマンとして鈴木敏文会長(当時)の人事案にノーを突き付けた伊藤邦雄教授。

企業経営やコーポレートガバナンスの専門家だ。2014年に経済産業省のプロジェクトの座長として企業価値向上のあり方をまとめた「伊藤レポート」を発表。その中で掲げた「ROE(自己資本利益率)8%以上の達成」は日本企業の意識を大きく変えた。伊藤教授はガバナンス改革はトップマネジメントに限ったものではないと説く。

伊藤邦雄 一橋大学大学院特任教授
いとう・くにお●1951年生まれ。一橋大学商学部卒業。商学博士。研究分野は会計学。92年一橋大学教授。2015年から現職。住友化学や東レなど、大手企業の社外取締役を複数務める。(撮影:田所千代美)

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コーポレートガバナンス改革の根っこにあるのは「稼ぐ力」だ。しっかり利益を上げられる企業こそが、グローバル競争の中で勝ち残れる。ROEは投資家が企業の稼ぐ力を点検する代表的な指標であり、日本企業は海外企業よりも低かった。

(HighwayStarz / PIXTA)

稼ぐ力を高めることはトップマネジメントだけの問題と思われがちだが、ミドル層や現場の社員もきちんと認識しなければガバナンス改革は完遂されない。トップが外に向けてROEの重要性を強調したり、「3年後に10%」と目標を掲げるだけでは不十分で、実現しなければ意味がない。ミドルは自分たちの行動が稼ぐ力を示す指標にどうつながるのかを認識する必要がある。具体的には、ROEという大本の指標を事業ごとの利益率や資産の回転率といった要素に分解したうえで、社内の目標に落とし込んでいくといい。

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