「ナッツリターン」に透ける、韓国財閥の宿痾

後継者の傲慢さが"財閥否定"を増長

12月12日、報道陣の前で謝罪する大韓航空の趙顕娥・前副社長(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

韓国のナショナルフラッグ・キャリア、大韓航空が揺れている。同社の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長が自社便に搭乗中、ファーストクラスで出されたナッツの出し方に不満を述べ、滑走路へ向かう途中の飛行機を戻させ、客室責任者を機内から降ろさせた、いわゆる「ナッツリターン」事件だ。

趙顕娥氏は、大韓航空を代表企業とする韓進(ハンジン)グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長の長女。同グループの創業者である故・趙重勲氏からすれば3代目に当たる。ナッツの出し方ぐらいで激高し、乗務員を降機させたということで、「財閥企業の傲慢さが出た」「一族経営で楽に昇進させ、苦労を知らない」といった批判が集中。結局、趙顕娥氏は副社長の職はもとより、同グループ内のすべての役職から身を引かざるを得なくなった。

起こるべくして起きた事件

趙顕娥氏は1974年生まれ。1999年に米コーネル大学のホテル経営学科を卒業後、大韓航空ホテル免税事業本部に入社し、同社でのキャリアを始めている。2002年には同ホテル機販事業本部機内販売チーム長、2007年に機内食事業本部本部長として常務に昇格。2010年に専務を経て、副社長となった。

エリートコースをひた走ってきた感のある彼女だが、これまでどのような評価を得ていたのか。「今回の事件のように、すぐに激高する女性と財界ではよく言われてきた」(韓国紙経済部記者)。大韓航空の社員の中にも「起こるべくして起きたと思う社員も少なくはない」(同)。

とはいえ、自社便に搭乗中、しかもファーストクラスで大声で騒ぎ、社員を降機させるようなことは、少なくとも日本の航空会社ではないだろう。ある日系航空会社OBは「客室乗務員のサービスでおかしいと思ったら、降りた後に会社のラインを経て注意したり、別の場所でこっそりと注意するのが普通。搭乗客の前で激しく怒ることはやってはいけないこと」と言う。

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