ソニーがWiLと設立する「Qrio」の衝撃 第一弾はスマートロック、その狙いは?

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現在、「スマートロック」はクラウドファンディングサイト「Makuake」を通じ、200個限定で申し込みを受け付けている

ソニーが自社技術を活用したユニークな事業スキームに乗り出した。組んだ相手はWiL, LLCだ。両社はスマートフォンを活用したドアロックの開発・製造・販売及び、その運営サービスを提供する合弁会社設立の契約を12月12日に締結。新会社となる「Qrio株式会社」を12月中に設立する。

何が画期的なのか?

出資比率はWiL Fund I,LPが60%、ソニーが40%。取締役はWiLから2名、ソニーから2名で、資本金は3億3350万円という形。この新会社は、市場の拡大が予測されるスマートホーム領域において、ソニーが保有する無線セキュリティ技術、公開鍵認証技術などを活かしたスマートロックを開発、製造し、2015年度から、個人および法人に向けに販売を行う予定。現在、スマートロックはクラウドファンディングサイト「Makuake」を通じて200個限定で受付をしている。

スマートロックのアイデアはWiLが今年夏にソニーに提案。そこから数カ月で契約締結に至った。「WiLがプロデュースを行い、ソニーは技術を出す、Qrioという商標を出す、という協力関係。画期的な点は、ソニーの子会社ではなく、インディペンデントなプロジェクトとして進めていくこと。Qrioではスマートロックを第一弾として、これからソニーの技術を活用した新製品をどんどん出していけると思う」と伊佐山氏は言う。

このプロジェクトは、雇用流動性の低い日本の大企業の中に眠る才能、技術を導き出すという点で、「日本型イノベーション」といえるだろう。自社技術の製品化へ向けた新ルートができたことにより、ソニー社内の技術者は大いに刺激を受けるだろうし、他のエレクトロニクス企業も刺激することになりそうだ。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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