関空、「ようやく低迷脱出」の裏に見えた弱点 LCC好調で旅客数激増でも…

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関空が浮上のきっかけをつかんだのは、ピーチの存在が大きい(筆者撮影)

そもそも大阪ではインターコンチネンタルホテル大阪や大阪マリオット都ホテルなどのオープンがあったものの、この3年間の新規オープンホテル数は限られる。にもかかわらず、LCCの手軽さや円安などを背景にした外国人観光客の増加に加えて、東京ディズニーリゾートと並ぶ巨大テーマパーク「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」に新アトラクション「ハリーポッター」ブームが到来。日本人観光客も増加しており、ホテル不足は慢性的だ。大阪市内や京都市内で宿を確保取れなかった旅客が、関空周辺ホテルまで宿を求めて移動する事態にもなっている。

つい最近、ある旅客が体験したケースでは「大阪市内でホテルが手配できず、大阪府内や京都府内は全滅。神戸(兵庫県)や関空、和歌山周辺も駄目だった。予約できたのは滋賀県や三重県方面のホテルだった」という。大阪から半径50キロメートル以内で、週末にホテルを押さえるのは相当困難な状態なのだ。

世界の主要空港では珍しいケース

空港周辺のホテルが全く空いていない、もしくは空いていても高額な宿泊料金を強いられるのは、世界の主要空港では珍しいケースだ。日本政府は2020年に訪日外国人客を2000万人と、2013年から倍増させる目標を掲げている。今後、官民で外国人観光客の呼び込みが一層進む中、関空周辺のホテル不足がより深刻化するのは目に見えている。

今、りんくうタウン周辺はビジネスホテルを確保するのに難儀する(筆者撮影)

そうなると最も影響を受けるのが、関西空港から海外へ出かける為に前泊・後泊をする日本人旅客だろう。もちろん、LCC利用者だけでなく、大手航空会社便で海外へ出かける際の前泊や後泊で利用している岡山や広島、四国、北陸などからの日本人海外旅行客の需要もある。

成田空港でも多く見られている傾向であるが、LCC早朝便利用者には前泊需要がある。日本でLCCが就航した当初は「LCCを利用する旅客は空港の周辺ホテルには前泊しないだろう」と言われていたが、実際に成田周辺のホテルはLCCの早朝便利用者の前泊を中心に宿泊客が増え、実際にホテルの稼働率を大きく上げた。筆者の取材の実感でも、LCCの航空運賃とホテル代を合わせて1万円で収まるのであれば、前泊をしてでも早朝便を使う人が多くいることが実証されている。

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