ひろゆき氏「生活費は3万円で十分です」 「2ちゃんねる」創設者に聞く「おカネと労働」

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原田:今の若者の能力値が高いとするならば、なぜ高くなってきたんでしょうね。

ひろゆき:競争が激しいからじゃないですか。僕らの若いときはダメなやつがいっぱいいたから、手を抜いてもおそらく“まじめレッテル”はもらえた。今だとすごくまじめにやらないと、まじめレッテルをもらえないのかなと思います。

原田:でも、同世代間での競争は減っていますよね。ひろゆきさんの少し上の世代は、団塊ジュニアで200万人もいたけど、今は120万人と半分ぐらいになっちゃったので。

ひろゆき:競争は減っていないと思いますよ。みんなが行きたがる大企業の数は変わっていないのに、大学に行く人の数は増えていますよね。実際、大企業の求人倍率は1を超えていないし、競争は激しいままなのではないでしょうか。

僕らのときは、氷河期とはいえ、選ばなければけっこう大きい会社に入れましたが、今は妥協して入れるまともな会社すらありません。バイトから正社員というコースも減っているし、派遣で入れたとしても、どんなに能力があっても1年経つと「お疲れさまでした」ですからね。滑り止めがないというのは、きついと思いますよ。

就職面接でも、「学生時代は何をやっていましたか」と聞かれるから、昔の学生みたいに大学の4年間を思い切り楽しむこともできない。バラ色の未来があれば、きっともっと自堕落になるだろうし、今みたいにまじめに頑張らないと思いますけどね。

原田:なるほど。ゆとり世代は人口が減って競争が少ないと思われているけど、実質激しくなっていると。

ひろゆき:しかも、会社の10年後の状況が、会社の中の人ですらビジョンが描けていません。大企業が潰れることもリーマンショックを予見できた人もいませんよね。

原田:先が見えなくなっているのは事実ですね。

ひろゆき:先が見えないから経営者層が採用を絞って、派遣などいつでも切れる人材にシフトしている。

原田:最近、銀行系に多いのですが、また一般職が増えているんですよね。コストも抑えられつつ、勤続欲も持っているから。

ひろゆき:昔は銀行に入れば超安泰でしたが、今は「10年後も安泰です」と言える会社はあまりないですよね。5年後によくなっている業界すらわからないですからね。

(構成:佐藤ちひろ)

※次回は12月26日(金)に公開予定です。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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