日本テレビが聖域にメス、賃金3割カットを強行 新賃金制度を巡り、高まる労使の緊張感

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日本テレビが“聖域”にメス、賃金3割カットを強行

生涯収入が最大で3割減。日本テレビ放送網が10月に強行導入した残業単価の引き下げなどを含む新賃金制度をめぐり、労使間の緊張感が高まっている。

3月の経営陣による提示以降、撤回を求めてきた日テレ労働組合は、9月末に36時間に及ぶ大規模ストライキを決行。3回目となるストで応戦したが、労使合意には至らず。交渉余地は少なくなっており、年明けにも法廷闘争へ発展する可能性が出てきた。

新制度はA3用紙で13枚にも上り「10年に1回あるかないかの大変更」(日テレ幹部)。年功序列から評価給への変更に加えて、テレビ局に多い、手厚い“特別手当”にメスを入れたのが特徴だ。

最も大きな変更点は定期昇給の見直し。従来、年1回の昇給があったが、新制度では、評価実績に応じて積み上げられたポイントの累計が一定点数に達しないと昇給できない仕組みに変更。労組幹部は「4~5年に1回程度の昇給ペースになる」と訴える。

年収を下支えしてきた数々の手当も減る。ほぼ全社員に支給され、残業単価に含まれる固定職務手当6万7800円が廃止されるほか、年4回のボーナスとは別に年4回支給されてきた業績連動手当も実質削減される。同手当は四半期の単体売上高に連動し、1回につき約15万円が支給されていたが、今後は評価次第で7万円程度に下がる。

表向きは「格差」是正

日テレではすでに、2008年度以降入社の社員を対象に、現社員とは違う賃金制度を導入。業務内容は同じでも、給与は約2割低い水準で働いている。今回の新制度導入は、表向きには二つの制度(中途は職種別年俸制で別枠)を一本化するのが趣旨で、評価制度導入により一時的に年収がアップする社員が出てくる可能性もあるとしている。

ただ、新制度では退職金も大幅カットされるため、総合職社員の平均生涯収入は、4.2億円から3億円へと最大3割ダウンする見込みだ。

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