図で読みとく!「消費増税」に関する大誤解 日本の借金は世界最悪と言うけれど……
膨らみ続ける社会保障費により、日本の債務残高の対GDP比は、ほかの先進国に比べて突出しています。そのことを根拠に、「日本は世界最悪の借金大国」「国債の信頼が失われ暴落する」といった危機をあおる論調が多く見られます。
今、議論されている消費増税も、財政破綻を防ぐためには、増税により国債の信用を確保することが必須だという理屈から出ています。しかし、今の日本の財政はそこまで逼迫しているのでしょうか?
ビジネスマン向けの経済学入門書 『図解 使えるマクロ経済学』が好評を博している著者の菅原晃氏が、国債や財政破綻をめぐるさまざまな主張を分析。その誤解を図表でスッキリ解き明かします。
日本の借金は世界最悪は「誤解」?
よく、最近の報道で日本の借金は世界最悪と言われます。本当に日本の財政は差し迫った危機を迎えているのでしょうか? 日本の借金(国債)の実態と、増税の必要性やタイミングについて考えてみたいと思います。
たとえば、日経新聞では次のように解説しています。
「日本は借金がGDPの2倍と、先進諸国の比率(0.6~1.5倍)に比べて突出して高い。財政危機が起きたギリシャやイタリアをも上回る。国が借金を返す能力を投資家に疑われると、貸し手がいなくなって、国の財政は破綻する(日経新聞「NIKKEIプラス1」2013年11月9日)」
これは事実としてそのまま受け取っていいものでしょうか。次の図を見てください。
以下は日本の借金を表す図ですが、分母がGDP成長率と、分子の国債残高の利子率となります。これらが同じであれば、借金の比率は高くはなりません。その場合、国債発行の持続性があると考えられます(これを、「ドーマー条件・ボーン条件」と呼びます)。
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