松井一郎「日本のためにはまともな野党が必要だ」 「23年春の政界引退揺るがない、次に後を託したい」

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塩田:維新と国民民主党の合計議席が、衆院選の結果、予算を伴う法律案の提出に必要な51を超えたため、国会で両党は統一会派を組むのでは、と予想する声もあります。

松井:今の時点ではそれはありません。われわれからアプローチする話ではないと思います。ただ、国民民主党とはいろいろな問題で話はできている。文通費(文書通信交通滞在費)とか、国会議員の経費や身分の問題にメスを入れようという点では一致している。政治は数ですから、一致するところでは共闘できると思います。ですが、統一会派はきちんと政策を固め、お互いが納得した形を作ったうえでの話だと思います。選挙も一緒に戦うわけですから。

ベーシックインカムは持続可能な国に必要

塩田:全国政党としての維新の政策と路線についてお尋ねします。衆院選の前、2021年4月の党大会で、ベーシックインカムに基づく大改革プランを唱えました。

松井:日本を持続可能な国にするには必要なことだと思います。要点は社会保障改革で、富の再分配です。われわれのベーシックインカムという方向は、持っている人に一定の負担をしてもらわなければ、という考え方です。無年金、低年金だけでも、 300万人の方がいる。長寿社会、高齢化社会になったときは、今の賦課方式の年金では、この国は絶対持ちません。みんなわかっているのに、なぜかやらない。この点にスピードを持って取り組むべきです。そこが自民党といちばん違うところです。

塩田:2021年10月に岸田文雄首相が登場しました。政策、路線をどう受け止めていますか。

松井:「新しい資本主義」も、抽象的で、よくわからないんですよ。この方向でという首相自身の具体的な施策が見えない。そこがいちばんの問題です。菅義偉前首相は、携帯電話料金の値下げ、不妊治療の保険適用、デジタル庁を造ってデジタル化、福島原発事故の処理水の海洋放出という具合に、わかりやすかった。わかりやすいことをやると、賛否両論、沸騰します。岸田首相は今夏の参院選を踏まえて、上手にぼやかしてるなあという感じですね。だから、おかしいということは、われわれは徹底的に追及していきますよ。

塩田:以前のインタビューで、これからの政党政治の方向について、「伝統的保守と改革保守の2大政党政治を目指すべき」という考えを示しました。岸田首相の立ち位置は。

松井:就任後の衆院選でも「改革」という言葉は出てこなかった。改革派ではないんでしょうね。保守という点も、自民党には強硬な保守と穏健な保守があり、宏池会の岸田首相は穏健派のほうでしょう。僕は穏健でいいと思う。あんまりマッチョなのも、ちょっと怖いなと思います。ただ、外交などで、けじめ、信念、絶対に譲れない一線があるというところは、メッセージとして出してもらいたいなと思いますね。

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