松井一郎「日本のためにはまともな野党が必要だ」 「23年春の政界引退揺るがない、次に後を託したい」

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松井一郎(まつい・いちろう)/日本維新の会代表・大阪市長。1964年生まれ。大阪府出身。1986年福岡工業大学卒。2003年大阪府議会議員。2011年大阪府知事(第18代)、2015年大阪府知事(第19代)を経て2019年4月から大阪市長(第21代)。日本維新の会(旧おおさか維新の会)代表は2015年12月から務める(撮影:ヒラオカスタジオ)

塩田:「野党第1党」など、維新は未達成の大きな目標がいくつも残っていますが、やはり予告どおり2023年4月の政界引退という決意に変わりはありませんか。

松井:辞めます。2020年11月の2回目の住民投票のとき、住民の皆さんに重い決断をお願いする限り、負ければ辞めるという決意を固めたわけで、その結果を受けて、誰かが責任を取らないといけない。自分でしっかりけじめをつけたいと思います。

塩田:とはいえ、その1年後の衆院選で維新は躍進し、党代表としては、言ってみれば国民の信任を得たわけです。その責任を背負って代表を続けるべきでは。

松井:政党の内部では、絶えず新陳代謝が必要です。僕の世代というか、僕はやり切った感がある。次の吉村洋文大阪府知事の世代の人たちに後を託したいなと思っています。

後継はいちばん支持が高い人、禅譲も指名もしない

塩田:引退の決意は不変ということであれば、後継問題は。

松井:現在の維新の大阪府議会議員、大阪市会議員の中心は、すべて吉村知事と同期の2011年当選組です。このメンバーには、党を担えるスキルも持った人がたくさんいます。そういう人の中から、オープンな形で候補者を決めたい。どうやって選ぶかは、これから大阪維新の会の中で、吉村さんを中心にルール作りをすると思います。

維新の政策は継続するのが当然として、手を挙げてくる人たちは、やりたい点をオープンに打ち出して、街頭でも訴え、世論調査やネット調査も活用しながら、いちばん支持が高い人を候補者として擁立して本番の大阪市長選に挑むという形で行きたいと思っています。

塩田:意中の後継候補はいますか。

松井:僕がそれを言うと、決まってしまいます。禅譲も後継指名もしないのが基本です。

塩田:昨年10月の衆院選の後、維新は執行部を一新しました。これは何が狙いですか。

松井:新しい藤田文武幹事長、音喜多駿政務調査会長、柳ヶ瀬裕文総務会長は次の世代の人たちです。今すぐ存在感を発揮できるとは思いません。いろいろ経験していくことで、スキルがアップしていくと思います。批判され、それに耐えないと、政治を動かしていくことができません。吉村世代で次の10年を担ってもらうため、彼らにそういう機会を持ってもらって維新のパワーアップを図っていきたいと思っています。

藤田幹事長は党務の経験では、馬場伸幸共同代表が幹事長をやっていたとき、かばん持ち的な存在で、2021年の衆院選の候補者発掘も含めて、ずっと一緒に全国を回っていました。そこは見ていると思いますよ。政治の世界に入る前、民間で仕事をしてきて、資本主義経済がわかっている。期待したいところはそこです。今、彼の一存で全部、党内がまとまるとは思いません。今は僕がいますからその間に育ってくれればいいなと思います。

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