日本コロムビアを買収したフェイスの「素顔」 元気のない日本の音楽産業をどう変えるか?
着信メロディなどの音楽コンテンツを配信する「フェイス」は2014年3月、TOB(株式公開買い付け)で、同じ東証1部上場の日本コロムビアを連結子会社化した。ネット系ベンチャー企業による、老舗の音楽ソフト会社買収として、業界で話題になった買収だ。
すでにフェイスは、2010年時点で米投資ファンドのリップルウッドから31.39%の株式を取得し、その時点で日本コロムビアの筆頭株主になっていた。ただフェイス自体の知名度は決して高いとは言えない。創業104年、日本最古のレコード会社として著名な日本コロムビアを買ったフェイスとは、どのような会社なのか。
音楽で食べていこうと思っていた
社名のフェイスは英語ではfaith(信頼)。ただ、face(顔)ともかけられているという。ここ数年はM&Aに絡むNDA(秘密保持契約)事項が多く、”ステルス戦略”でマスコミ取材を控えてきたという、創業者の平澤創社長。この平澤社長の素顔に迫っていこう。
フェイスは1992年、京都で設立された。その20年余の歩みは平澤社長いわく「日本初」「世界初」のオンパレードだ。1994年には日本初の商用音楽データダウンロードを開始。1996年に世界初のインターネットカラオケ、そして1999年には世界で初めて「着信メロディ」のダウンロードを考案のうえに実用化し、世界100カ国に向けて展開してきた。2002年には設立から10年足らずで東証1部に上場。平澤氏は1部上場の社長としては当時最年少だった。2004年には新市場開拓の功績が認められ、過去最年少かつ初の30代で藍綬褒章を受章した。
「初物が好きなんです」と笑いながら扇子をパタパタさせる平澤社長は京都生まれの京都育ち。同志社大学出身者ばかりの音楽ファミリー(母はピアニスト)の長男として生まれた。大学受験は国公立理系志望したものの、浪人中にバンド活動に没頭し、大阪芸術大学芸術学部音楽学科に入学。音楽で食べていこうと思い、B'zやZARDとほぼ同時期、音楽制作会社のビーイングで学生アルバイトを始めて、1年間スタジオワークに関わった。
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