EV覇権握るのは?世界自動車メーカーの大競争図 トヨタ、テスラなど日米欧中の勢力を徹底比較

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④ 欧米EV対決!フォードVSフォルクスワーゲン

20世紀の産業史を変えたと称されるアメリカの大手自動車メーカー、フォード・モーター(フォード)。対するは、アウディやポルシェなど多くの傘下を持つドイツの自動車メーカー・フォルクスワーゲングループ。米欧を代表する自動車大手2社は、EV事業でもしのぎを削る。

フォードはEVへの投資で先行逃げ切りを図る

アメリカの3大自動車メーカーの1社に数えられるフォード。同社は2000年代に経営不振に陥ったものの、コスト削減や業務効率化などの戦略が功を奏し、ここ数年は復活しつつある。2020年はコロナ禍の影響もあり赤字だったが、2021年は1~9月期の純利益は前年同期の約3.7倍となった。

同社はEV開発にも積極的で、マスタングやピックアップトラック、商用バンなど新車EVの販売も好調。2030年までに世界の新車販売台数の40%がフルEVになると予測しており、EVやバッテリー開発など電動化への投資を増やしている。

巨大投資でEVプラットフォーマーを目指すフォルクスワーゲン

フォルクスワーゲングループは、世界販売台数の世界一をトヨタ自動車と競い合う世界最大級の自動車メーカー。2020年の販売台数はコロナ禍の影響で前年比15.2%減となったが、グループ全体で世界2位の930万5400台を売り上げた。

同社は主要自動車メーカーの中でも特にEVシフトに積極的で、同年は約23万台のEVを販売。2030年までに、グループの世界販売台数の約6割を占めるフォルクスワーゲンのうち欧州販売の7割以上、米中でも5割以上をEVにすると宣言しており、いち早くEV時代のトップになる覚悟のようだ。

前回:アップルの価値をよく知らない人に伝えたい本質(2月24日配信)

田中 道昭 立教大学ビジネススクール教授

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たなか みちあき / Michiaki Tanaka

シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略およびミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)などを経て、現在は株式会社マージングポイント代表取締役社長。主な著書に『「ミッション」は武器になる』(NHK出版新書)、『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH 米中メガテック企業の競争戦略』(日本経済新聞出版社)など。

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