日経平均1万7197円、連日の年初来高値 終盤にかけ、要人の発言で上げ幅縮小

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 11月12日、東京株式市場で日経平均は続伸。前日に続き年初来高値を更新した。4日撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 12日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は続伸。前日に続き年初来高値を更新したが、大引け前に急激に上げ幅を縮小した。米株高や円安基調の継続などを受け、朝方から主力株を中心に買いが先行。年内の衆院解散・総選挙の見方が強まりつつあることも支援材料となった。総じて先物主導の展開となり、後場に入ると前日比で一時320円近く上昇。取引時間中として7年1カ月ぶりの高値水準を付けた。

市場では消費増税延期論を好感する向きがあるものの、日本株は日銀の追加金融緩和後、急ピッチで上昇を続けており、短期的な過熱感が意識されている。こうした中で週末にオプションSQ(特別清算指数)算出を控えており、市場からは「短期筋のポジション調整的な動きに左右されている」(中堅証券)との声が出た。

前日に続きファーストリテイリング<9983.T>やファナック<6954.T>などの値がさ株が上昇し、指数を下支えした半面、主力株の一部は利益確定売りに押された。後場はTOPIXやJPX日経インデックス400も大引けにかけてじり安の展開。内藤証券投資調査部長の田部井美彦氏は、消費増税の先送りや解散・総選挙から「政府の景気対策に投資家の視点が移りつつある」と指摘。「ただ解散だけとなれば株安につながる」との見方を示している。

セクター別では不動産や小売、サービスなどが堅調。一方、福田組<1899.T>、熊谷組<1861.T>、西松建設<1820.T>などの建設株は下落した。「政治的な空白や、消費再増税先送りが実施された場合の公共事業への影響などが嫌気されている」(国内証券)という。

個別銘柄では、アイロムホールディングス<2372.T>がストップ高。来年夏をメドに人工多能性幹細胞(iPS細胞)を効率的に生産できるウイルス素材を発売すると報じられ材料視された。自社株買いを発表したセイノーホールディングス<9076.T>も大幅高。もしもしホットライン<4708.T>など選挙関連銘柄も買われた。

半面、公募増資が嫌気されたトリドール<3397.T>は反落。外食事業で42店舗を追加閉鎖すると発表したワタミ<7522.T>も売られた。

東証1部騰落数は、値上がり555銘柄に対し、値下がりが1190銘柄、変わらずが88銘柄だった。

 

(長田善行)

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