19日決定?衆院解散になだれ込むのか

政府が消費増税延期を本格検討

 11月11日、政府が消費税率10%への引き上げを先送りする公算が出てきた。引き上げ時期を1年半先送りする案を軸に本格的な検討が進んでいるとみられる。写真は東京のディスカウントストア。3月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 11日 ロイター] - 政府が消費税率10%への引き上げを先送りする公算が出てきた。引き上げ時期を1年半先送りする案を軸に本格的な検討が進んでいるとみられる。

4月に消費税率を8%へ引き上げた後の消費動向が振るわず、このまま再増税に踏み切れば、デフレ脱却もとん挫し、結果的に税収の下振れから財政再建も進まないとの判断に傾いている。政府・与党内には、早期解散の観測も急速に台頭し、消費税と政局が連動する展開となってきた。

増税延期の可能性高まる

政府内では2015年10月からの増税に対し、政権の「司令塔」とされる菅義偉官房長官はじめ枢要なメンバーを中心に慎重な見方が広がりを見せている。

背景には、今年4月の増税による消費の反動減が、想定以上に長引いているとの分析が政府部内で多数意見となっていることがある。

再増税を決めれば一段の消費マインド低下、株価低迷を招きかねないとの危惧が浮上。このことが内閣支持率の低下につながるリスクとして懸念されている。

首相周辺の関係者の1人は、17日に発表される2014年7─9月期国内総生産(GDP)の1次速報値が前期比・年率で2%台にとどまった場合、増税延期になる可能性が高まると述べている。

また、別の関係者は、消費増税引き上げ延期の公算が大きく、政府部内で延期に向けた本格的な検討を始めることになりそうだとの見解を示した。  

一方、増税実施派や財務省は、再増税を延期すれば、2015年度までに国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の国内総生産(GDP)対比の赤字を10年度比で半減、20年度までに黒字化するとの事実上の国際公約でもある財政健全化目標の達成が、難しくなると懸念する。

格付け会社による格下げなどを契機に、日本の財政再建能力に市場が疑問を持ち、長期金利の急上昇につながりかねないと増税派は懸念する。9月以降の急速な円安に拍車がかかり、意図せざる円の急落を心配する声もある。

山口公明党代表「構えを考えざる得ない」

こうした増税実施派の反対論を抑え込むことも念頭に、政府・与党内では、11月中の衆院解散・12月総選挙で国民の信を問うとの選択肢が、急浮上している。

公明党の山口那津男代表は11日午前の定例会見で「解散についてのシナリオや見通しも含めた情報が重なってきている。われわれとしては、それなりの構えを考えざるを得ない」と述べ、年内の衆院選に備え態勢をとる考えに踏み込んだ。

別の与党幹部は「消費税率引き上げを先送りするのであれば、政策の大転換。国民に信を問う理由になる」と語った。   

「19日解散」、「28日解散」の思惑

関係者によると、増税先送りを決断する場合には、来年度予算編成への影響を最小限にするため、早めに判断したほうが良いとの見方がかねてから存在していた。

このため、17日公表の7─9月期GDP1次速報値を踏まえ、18日に景気対策の検討を指示。「19日解散」との観測が出ている。

また、26日に予定される党首討論を経て、今国会の事実上の最終日である28日に消費税率10%への引き上げの延期を宣言し、衆院を解散する案もささやかれている。

政権としては解散表明までの間に、景気対策の規模と骨子を固め、経済最優先で取り組む方針を明確にしたい考え。

また、先送りする時期を「1年半」などと明確にし、2度先送りすることはないと明確にするため、「景気弾力条項」を廃止する案も浮上している。

与党の一部には、消費税率引き上げの判断を先送りしたまま、解散に踏み切るとの観測も出ている。

さらに選択肢の1つとして、年明け解散も取りざたされている。ただ、来春の統一地方選との間隔が一段と狭くなるシナリオには、連立を組む公明党の賛成が得られないとの見方がある。

自民党三役の一角を占める自民党の二階俊博総務会長は11日の会見で「(解散の)風が吹き始めていることは間違いない」と指摘した。そのうえで「時が来れば果敢に戦って、自民党が圧勝できる態勢を整えなければならない」と表明し、解散風をさらに強めることになった。

消費増税の先送りを「旗印」にした衆院選へのうねりが、だれの目にもはっきり映る情勢となってきた。

 

(竹本能文 吉川裕子 編集:石田仁志 田巻一彦)

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