なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか 住友重機「機銃スキャンダル」の暗部

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防衛省の対応も実に甘いものだった。指名停止措置はわずか5カ月、賠償請求金額は247万4916円に過ぎなかった。下手をすると国防の根幹に関わる問題であり、国家の存亡にもつながりかねない重大事件である。しかも防衛産業全体に対する不信感を国民が感じた事案でもある。にもかかわらず、極めて軽いペナルティである。

武田博史報道官は先の会見で、これらの機銃の改修が行なわれていないと発言したが、23日の陸幕長会見で岩田陸幕長はこの発言を訂正し、改修は行なわれており、その費用は住友重機が負担していると述べた。武田報道官と岩田陸幕長によると、現在これらの機銃の後継や代替案などを検討しているという。

なぜ調達を再開しないのか

74式機銃は戦車などの同軸機銃としても使用されている。写真は10式戦車

改修が行われたのであれば、なぜ調達を再開しないのだろう。また問題がなければ、なぜ急に3種類の機銃の後継機種の検討を始めたのだろうか。

常識的に考えれば3種類の機銃を同時に更新することはない。それは、新機銃を導入するのにコストがかかるうえ、訓練、兵站も同時に変更することになるからだ。実際にこれらを一度に行えば、一線の部隊では大混乱になるだろう。

新機銃に更新となるのであれば、現場では本年度から最低でも数年、恐らく5~6年は必要だ。その間、現在の機銃も調達をせず、新型機銃も調達せず、という状態になる可能性があるわけだ。代替機銃が導入されるまで、部隊では機銃の不足が生じるはずだ。それまで不測の事態は起こらないという根拠でもあるのだろうか。

先の住友重機の報告書によれば防衛省に対して納入済みの各製品(既納製品)の安全性については以下のように述べている。

「製品に発生するリスクの度合いを評価するハザード分析を行い、検証した結果、安全性は確保されることを確認いたしました。また、過去のクレーム情報について調査を行った結果、今回の不適合品の流出が原因となるクレームはありませんでした。以上については防衛省に報告し、その内容を了承いただいております」

また再発防止策については、「防衛装備品の製造過程における手順の明確化や試験記録の厳格化、不適合製品を流出させない体制構築等を含む再発防止策を策定して防衛省に報告いたしました。既に段階的に実施をしています。また、従業員に対するコンプライアンス遵守教育を一層徹底いたします」と述べている。

であれば、急に後継となる機銃を決める必要はないはずである。後継機銃を導入するにしても、それまでまだ終わらない現用機銃の調達を続けるのが普通だ。来年度予算でも機銃を調達しない理由は何なのか、と疑いたくなる。

防衛省の行動と主張は矛盾している。防衛省は機銃の調達を中止するのであれば、現用の3種類の機銃があと何丁ずつ必要なのか、それらをあえて調達しないのであれば、その理由を説明するべきだ。

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