ミラー氏、「TPP交渉から日本を外すべき」

中間選挙で民主党完敗、TPP交渉の行方

スコット・ミラー(Scott Miller)●戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問。国際貿易スペシャリスト。プロクター&ギャンブル(P&G)国際貿易政策担当部長(1997~2012年)。その他多くの組織を通じて広範な貿易・投資問題に関わる。自由貿易協定促進に尽力。米通商政策・交渉に関して米通商代表部顧問委員会の連絡役として米政府に助言。オハイオ・ノーザーン大学で学士号、シンシナチ大学で修士号取得。

――米政府からみて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉はどういう状況にあるのか。

完全に立ち往生している状態だ。最近のオーストラリアでの閣僚会合やマイケル・フロマン米通商代表部代表と甘利明TPP担当相の話し合いで見る限り、日米間にはまだかなりの隔たりがある。日本は市場参入について、常に圏外にいる。TPP交渉12カ国の中でも、日本は自由貿易協定(FTA)の締結国が最も少ない。TPP交渉にも最後に参加し、合意からはもっとも遠いところにいる。ほとんどのTPP参加国、とくに米国は日本の市場開放に対する後ろ向き対応に不満を持っている。

この立ち往生は少なくとも6カ月続いている。交渉担当者たちは“着地ゾーン”を設定し、未解決の重要課題やそれらの論争点について十分承知している。ところが、今年4月以来ほとんど進展がない。現時点でとくに農業市場参入について突破できなければ、交渉が立ち往生している状況は変わらないし、すぐにも合意に達する見込みはない。

同じドレスコードであるべき

――日米間の違いを調整するのにあらゆる手を尽くしたのか。

そこがキーポイントだが、日本には多くの市場参入障壁がある。ニュージーランドのティム・グローサー貿易相はオーストラリアでの閣僚会合で、「日米協議は何も親しい2国間取引を締結するために設計されたものではない」と述べた。つまり、TPP参加12カ国すべては同じドレスコードであるべきで、ニュージーランドのようなグローバルな競争力を持つ農業大国にとっても、日本への市場参入を求める点では同じ、と言っているのだ。日本の農業市場への参入問題は日米間紛争として捉えられがちだが、そうではない。

――米議会が大統領に貿易促進権限(TPA)を与えない限り、日本は米国との交渉で前進できないという意見をどう思うか。

その議論は、オバマ政権には議会とやるべきことが多くあることを強調する意味で妥当だ。オバマ政権はTPP交渉過程で議会と連携していない。憲法や米通商政策の歴史では、両者の分業が規定されている。1934年以来分業の道を探ってきているし、かなりその習練も経てきた。しかし、オバマ政権はもっと努力する必要がある。米政府がTPP参加国の信頼を得るには議会との折り合いが決定的に重要だ。日本が米国を疑い、前進したがらない理由は確かにわかる。オバマ政権にとって、議会との“着地ゾーン”のほうが、日本の牛肉とのそれより重要だと私は何度も言ってきた。

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