三菱電機、最高益の主役はFAと自動車機器 営業利益率は日立や東芝を上回る稼ぎっぷり

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ただし、不安要素が全くないわけではない。

重電システム部門は、今上期に125億円(前年同期183億円)まで落ち込んだ。中国向けの昇降機(エレベーター)、鉄道車両用インバーターや空調装置などの交通システムが海外向けに好調だったものの、前期にあった国内原発の安全対策工事が一巡したこと、火力で大口案件が減少したことにより、部門として唯一減益になった。松山常務も「電力事業は今後も厳しい見方をしている」と説明。他部門が着実に稼いでいる中、不安材料が残った。

 三菱電機は2020年度までに売上高5兆円、営業利益率8%以上を目指し、「質のよい成長の実現」を目標に掲げている。その目標に向け、営業利益率も着実に増加させているが、2015年3月期予想の営業利益2750億円のうち、約4割をFAシステムや自動車機器などの産業メカトロニクス部門で稼いでいるのが実態だ。情報・通信部門では「ひまわり」などの衛星も手がけているが、国の政策や政府の予算に絡み、大口案件の有無に左右されやすいため、必ずしも安定的とは言えない。

結局、FAシステム事業や自動車機器事業に過度に依存しすぎない収益構造を、どう構築するか。上質で高収益の企業をめざす三菱電機にとって、さらなる飛躍を遂げるための課題だろう。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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