子の保育園時代こそキャリアアップすべき理由 「小一の壁」を乗り越えるための基盤を作る時

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理由その1:年齢的に仕事でキャリアアップすべき時期であること

Iさんは、必ずしも意識していたわけではないでしょうが、保育園時代を活用して、職業人生における基盤を作りました。

2020年の人口動態調査(厚生労働省)によると、第1子誕生時の平均年齢は男性が32.8歳、女性が30.7歳です。入社以来、ある程度の経験を積み、さらなるステップアップを目指す時期とも重なります。お互いのキャリアを尊重し合う形で、夫婦それぞれのキャリアプランをすり合わせ、いかに共通のライフプランと融合させていくかを話し合っていくことが重要です。

その際、Iさんのように、子どもの保育園時代を最大限活用して、キャリアのベースを構築するという発想は大事です。送迎の煩わしさはありますが、仕事をしている間、保育園という子どものための空間でプロのケアを受けているという安心感は、何物にも代えがたいものです。

立ちはだかる「小一の壁」

しかし、多くの人にとって、保育園時代の貴重さに気づくのは子どもが小学校に上がってから、というのはとても残念なことです。

「いずれ小学校にさえ入ってくれればバリバリ働ける」「急な発熱でいつ保育園から呼び出しがくるかわからないから」と考え、ひとたびマミートラックに入ってしまうと、子どもが小学校に入学したからといって、すんなり元のキャリアに戻れるとは限りません。

理由その2:保育園は働く親のためのものだが、小学校はそうではない

一般的に、学童保育のほうが保育園よりもお迎え時間が早いですし、何といっても驚くのが、保育園よりはるかに親の関与が求められること。保育園は働く親のためのものですが、小学校はそうではありません。帰宅後に宿題を見てあげたり、持ち物などにも気を配らなければならず、親の参加が前提の学校行事も目白押しで、しかもその多くが平日開催です。

子どもが幼いうちはこまごまとしたお世話が必要ですが、親の目の届く範囲に子どもの行動が収まっているということの裏返しです。この時期は、親子ともに健康に留意して、子どもが成長するのと歩調を合わせ、親も職業人としての成長を目指しましょう。

保育園を卒園すれば、小学校、中学校、高校、大学と、子ども関連のライフイベントが次々と訪れます。それらの時期に合わせて教育費が準備できるのかということもライフプラン上重要な問題です。

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