武田薬品が、ユーグレナに惚れたワケ 包括提携し健康補助食品から医薬品に展開へ

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化粧品やバイオジェット燃料、バイオディーゼル燃料など多方面で活用できることがわかり、JXグループやいすゞなど多くの企業と共同開発を行っている。青汁に代わる「緑汁」(直販)やクッキー、ヨーグルトなど食品を多く扱い、提携企業も多いが、医薬品メーカーとの提携は今回が初めて。「包括提携であるので、他の医薬品メーカーと組む考えはない」(ユーグレナ・出雲社長)という。

武田薬品のほうからアプローチ

武田薬品が注目したパラミロンは、多糖類のうちヒトが消化できない物質で、ミドリムシだけに存在するといわれている。表面にミクロの孔がたくさんあり異物を吸収する性質がある。コレステロールやがん細胞を吸着するという説もあり、医薬品としての将来性に期待が持てる。

ユーグレナ・出雲充社長(右)と武田薬品工業の杉本雅史ヘルスケアカンパニープレジデント(左)

武田薬品のほうからユーグレナにコンタクトを取り、2013年春ごろに正式に両社でのコラボレーションの検討が始まった。

ミドリムシに関する基礎研究から多くの可能性を発見しているユーグレナだが、すべての開発を自力で行うことは不可能だ。ユーグレナにとってもこの申し出は願ったりかなったりだった。

今後はパラミロンにフォーカスしたプロジェクトとして、ユーグレナが基礎研究を行い、武田薬品がOTC、医薬部外品、特定保健用食品などの承認を得るためにエビデンスに基づいた製品開発を進める。第2、第3の製品開発については検討を始めたところであり、現時点では具体的なものはないが、「できる限り早急に進めたい」(武田薬品・杉本氏)としている。
 

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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