「アキバらしさ」が消える?秋葉原再開発の青写真 家電にサブカル、時代を映し変化してきた駅周辺

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名称が生まれて約150年。空き地から始まって、めまぐるしく変わってきた秋葉原ではあるが、またもや再開発計画が進んでいることには、驚かざるをえない。

神田川にかかる万世橋。すぐ対岸が再開発計画があるエリア(筆者撮影)

「外神田一丁目南部地区のまちづくり(外神田一丁目再開発事業)」との名称で、万世橋交差点の西側、神田川、中央通り、総武線に囲まれた三角形の土地が対象である。高さ170mの超高層商業ビルを中核に、神田川沿いには親水エリアや船着き場を設ける計画であるという。狙いは、当然のように秋葉原の再活性化だ。

ただ、完成予想図なども見たが、正直な感想は「これのどこが秋葉原らしいと言えるのか?」「どこに秋葉原の魅力を感じればいいのか?」だ。地権者の間でも反対意見が多いようで、「秋葉原は丸の内ではない」との声もあるそう。まったく同感である。

「水清ければ、魚棲まず」

神田川の対岸の万世橋駅(元交通博物館)跡地が、レンガ造りの高架橋という先人の遺産を最大限活用して、お洒落な集客スポットに再生したのとは対象的だ。新橋や神田に続いて、また同じ言葉を繰り返さなければならないが「水清ければ、魚棲まず」だ。災害に強いまちづくりとは、イコール超高層ビル化ではあるまい。

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秋葉原は、そこにシンパシーを感じる庶民が集まってきて初めて成立する街だと思う。火除けの神様から始まって、電気部品、家電製品、パソコン、サブカルチャー、どれもそうだ。その次は何か? それは多くの人たちの意思によって決まるだろう。

ありきたりの高層ビルに、秋葉原カルチャーの中核たる役割が果たせるのだろうか。変わってこその秋葉原ではあるが、どのように変わるかは一地域の問題ではない。AKB48の大成功を見るまでもなく、日本の、もっと大きな文化の流れに沿って変わっていくのが秋葉原ではあるまいか。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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