菅義偉「国民の皆さんに伝え切れていなかった」 前首相が振り返るコロナ対策とこれからの展望

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塩田:なぜ9月3日の朝の段階で意思表明を。

:もう岸田さんは出馬を決めて、活動を始めていましたね。一方で、12日が迫ってきまして、ここが判断のぎりぎりのタイミングでした。そういうことで、総裁選には出馬しない、新型コロナ対策に専念すると判断しました。

塩田:そのまま突っ走って総裁選を戦うことになった場合、勝てそうにないから、やむをえず不出馬を、と考えた面もあったのですか。

:そこはやっぱり現職ですから、そんなことは。地方の票や党員の支持はそんなにおかしくなっていなかったと思っています。

(撮影:尾形文繁)

「さっぱりしています」

塩田:1年で政権が終わったことについて、今、どんなお気持ちですか。

:さっぱりしていますよ。やはりコロナが収束してきたことがいちばんだったと思いますね。出馬を断念してコロナ対策にもっと力を入れていくつもりでしたが、一挙に感染者が減少してきた。そうなっていなければ、今ごろ、いろいろと心残りもあったと思います。

塩田:あのとき、気持ちがプツッと切れたのでは、と見た人もいたようです。

:まあ、いろいろな複雑な気持ちはありますよね。だけど、私の気持ちをわかる人って、いないじゃないですか。

塩田:首相を辞めた後、今後、政治家としてどういう道を目指していますか。

:先に言いましたように、カーボンニュートラル、脱炭素社会も待ったなしのところです。自分で宣言して2兆円の基金を設けました。技術開発とか投資とか、これを進めていくのも1つの責任です。デジタル庁もそうです。少子化対策や地方活性化など、いろいろなことを前に進めていきたいと思っています。

塩田:未達成のいくつもの目標を実現するために、もう一度、チャンスがあれば政権に挑戦しようというお考えはありますか。

:それはないですね。自分が掲げてきたことを進めていきたい。

塩田:それには、現実の政治の場で、力を持って数を動かしていくという形を取らなければ、実際にはなかなか実現が難しいのでは。

:今、一緒にやっているグループがあります。その中で政策をきちっとやっていれば、数は自然に増えていくのではないかと思いますが……。

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