2兆6782億円--自殺やうつ病による社会的損失推計額(2009年)《気になる数字》
厚生労働省と国立社会保障・人口問題研究所は、自殺とうつ病による休業・失業などによる社会的損失額が、2009年の1年間で約2兆7000億円に上るとの推計結果を発表した。
その内訳は、自殺した人が亡くならないで働き続けた場合に得られる生涯所得が1兆9028億円、うつ病を原因とする失業者への生活保護給付の減少額が3046億円、うつ病がなくなることによる医療費の減少額が2971億円、うつ病による休業がなくなることによる賃金所得の増加額が1094億円などとなっている。
景気低迷の長期化、雇用環境の悪化などに加え、人と人とのつながりの希薄化が進む中で、われわれ日本人はさまざまなストレスにさらされている。
それが証拠に、主にうつ病とみられる「気分障害」で医師の診察を受けた患者数は、厚生労働省の08年調査で104万人に達し、この10年間で60万人も増加。また警察庁がとりまとめる自殺者の数は、1998年以降、年間3万2000人前後で推移しているが、その間、特に30~40歳代の自殺者の増加が目立つ。
ようやく政府は、自殺防止やうつ病予防のための具体策を講じ始めた。根本的な解決には程遠い内容だが、それでも目に見える効果を期待したい。
身内や友人を失い、また回復を願い支え見守る家族や仲間からすれば、その損失は金額では表せないほど大きい。
(データ事業局・加藤千明 =週刊東洋経済2010年9月25日号)
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