「急激なダイエット」がリバウンドする科学的根拠 運動するほど代謝量が下がるという衝撃の逆説

拡大
縮小
運動するほど代謝が下がるかもしれないことが、最新の研究により判明した(写真:jhphoto/PIXTA)

2004年から10年以上にわたって放送され、出場者が短期間に大幅な減量を競い合うことに熱中する、いささか悪名高いリアリティ番組「The Biggest Loser(ザ・ビゲスト・ルーザー)」を覚えている人がアメリカには多い。この番組の最大の教訓は、激しい運動に徹底的なカロリー制限を組み合わせれば体重を一気に減らせる、ということらしかった。

番組で信じられてきたことは間違いだった?

ところが、出場者の「その後」を追った報道はまったく別の現実を伝えているようだった。体重はリバウンドし、代謝は低下、長期にわたるダイエットの取り組みは無駄骨に終わる、ということだ。

昨年11月に学術誌『オベシティ(肥満)』に掲載された科学的分析は、「ザ・ビゲスト・ルーザー」について信じられてきたことの多くが間違いである可能性を示唆している。

この分析は、出場者の代謝に実際に何が起こったのかを明らかにしようとする試みだ。一部の出場者がほかの出場者に比べうまく体重をキープできた理由のほか、減量について運動が果たしている複雑な役割や、身体的な活動量の維持が何年にもわたる体重のコントロールに役立ったのかどうかも調べている。

番組について忘れてしまった人、あるいは忘れようとしていた人のためにおさらいしておくと、「ザ・ビゲスト・ルーザー」は3大ネットワークの1つNBCで十数シーズンにわたって放送され、全般的に高い視聴率を記録した。極度のカロリー制限と毎日何時間にも及ぶ激しい運動によって出場者が減量ナンバーワンを競い合う番組だ。「勝者」は通常、数カ月で何十キログラムもの減量に成功していた。

次ページ専門家を驚かせた衝撃の調査結果
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT