インド発スーパー耐性菌が日本でも発見、インド国内では報道されず

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要するに「インドのイメージが悪くなる。120億ルピーのメディカルツーリズム産業が傷つけられた」といった論調です。インド政府(衛生省)による抗議もわかりますが、「ことなかれ」の空気は困ります。

ちなみに、発表した研究チームはマドラス大学(インド)とイギリスの大学のチームとのことです。

--当然インドでは患者がいると思いますが、どのような状況なのでしょうか。

正直、最新の情報が少なすぎます。あくまで先月の報道によればですが、インド国内ではチェンナイで44人、ハリヤナで26人の感染者が見つかっているようですが、この2つの場所は自動車や家電などの工業地帯で日系ビジネスマンを含め多くの外国人がいる場所でもあります。

ただし、これらの場所が特に流行っているということではなく、これらの患者を特定確認できた医療センターがこの2カ所だということです。

今後の情報に注意して、といっても情報がないのですが、現地で何かケガや病気で入院が必要な際は二次被害にあわない注意が必要かと思います。もちろん、報道されている懸念内容が今後どういうことになるのかわかりませんが、今、インド政府は、抗生物質の乱用される現状を改めるべく、使用に関する基準の見直しを進めているようです。

今回のような件では、「大型私立病院だから安全」というわけにいきませんので、なんともいえません。ただ、疑いのある患者を隔離したりするには余裕が必要ですから、そう考えるとしっかりした病院のほうがいいのだと思います。

インド政府には国を挙げての検査や適切な体制を整え、しっかり情報を開示してもらいたいものです。

(聞き手:東洋経済HRオンライン編集長:田宮寛之 須貝氏撮影:尾形文繁、写真は本文とは関係ありません)

すがい・しんいち
1973年生まれ。法政大学英文科卒業。外資系IT企業、インド関連コンサルティング会社にて取締役として事業の立ち上げ等を経て、現在はネクストマーケット・リサーチ代表取締役。中小企業診断士。

ネクストマーケット・リサーチ
インド・南アジアの企業・金融・経済情報の提供のほか、インド進出支援コンサルティング、インターネット関連事業などを行っている。http://nm-research.com

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