裁判員裁判、五菱会の外国口座から被害者への財産支給の実態《東京地検定例会見》

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 言い渡し日 起訴罪名        主文
 7月15日 殺人          懲役3年、執行猶予5年(傷害罪による判決)
    同上 強盗致傷        懲役8年・懲役8年・懲役6年
    同上 殺人未遂、銃刀法違反  懲役5年
 7月16日 建造物損壊、銃刀法違反 懲役12年
    同上 強盗致傷        懲役3年、執行猶予5年保護観察付
    同上 殺人          懲役6年
 7月21日 強盗強姦未遂、強姦等  懲役13年
 7月22日 営利拐取、強盗致死等  懲役28年
 7月23日 傷害致死        懲役6年
 7月29日 強盗致傷、傷害等    懲役9年
    同上 強盗致傷、住居進入等  懲役8年
    同上 強盗致傷、強姦等    懲役9年
 7月30日 殺人未遂、出管法違反  懲役5年
    同上 強盗致傷        懲役9年
    同上 現住建造物等放火    懲役3年、執行猶予5年保護観察付
    同上 強盗致傷        懲役8年6月
    同上 強盗致傷、住居侵入   懲役9年
    同上 殺人未遂、銃刀法違反  懲役10年

 (参考) 2010年7月1日~14日に判決言い渡しのあった裁判員裁判対象事件と判決内容

 言い渡し日 起訴罪名        主文
 7月 1日 強盗致傷        懲役2年、執行猶予4年※窃盗傷害での判決    同上 殺人          懲役8年
    同上 傷害致死        懲役6年
 7月 2日 強盗殺人等       無期懲役
    同上 強盗致傷等       懲役6年、没収
 7月 7日 殺人等         懲役15年
 7月 8日 現住建造物等放火未遂等 懲役3年、執行猶予3年保護観察付き
    同上 強盗致傷        懲役10年
    同上 現住建造物等放火等   懲役1年6月※窃盗有罪、放火は無罪
 7月 9日 殺人未遂        懲役3年、執行猶予5年
 7月14日 通貨偽造、同行使    懲役3年、執行猶予5年
    同上 覚せい剤取締法違反等  懲役15年、罰金800万円、没収

 表3 2010年8月5日~同月末までの裁判員裁判の公判予定

 審理開始予定日 事件名      起訴日
   8月18日 殺人未遂     09年 9月18日
   8月23日 傷害致死     09年11月27日
   8月24日 通貨偽造、同行使 09年10月19日
   8月30日 現住建造物等放火 09年11月 9日
   8月31日 強盗致傷     10年 3月16日
   8月31日 殺人、銃刀法違反 10年 1月25日・2月19日・3月18日
         覚せい剤取締法違反 

 表4 いわゆる五菱会ヤミ金融事件の外国譲与財産支給手続き(概要)図

 08年 7月25日 外国譲与財産支給手続き開始決定・公告。申請受付開始
 09年 1月26日 申請受付終了 
 09年12月14日 裁定
 10年 8月 5日 支給手続きの開始

 6887件の裁定のうち5件が「認定された被害額が違う」と不服を申し立てて裁定取り消しを求める訴訟中、このほか11件が無効で、6871件が裁定等が確定。うち受給資格の裁定を受けた5496件のうち5490件が今回の支給手続きの開始対象となった。6件の誤差は、「振り込み口座が明らかでないとか、被害者が死亡していて相続者の届出が満了していない者」(大鶴次席検事)。資格裁定者について認定された総犯罪被害額1612億1300万円のうち14.7%に相当する23億7838万7089円が、差し押さえられた五菱会の外国口座から被害者の口座に振り込まれることとなった。

 東京地検は6月10日から雑誌やフリーランスにも定例会見を公開しているが、記者クラブの記者以外で今回の会見に参加したのは雑誌記者1人、フリー2人。フリーランスの記者から感想を求められると、大鶴次席検事は「お忙しいのではないか」と苦笑い。「フリーランスも雑誌も会見公開後に目立った事件報道をしていないのでは」と指摘されると、大関次席検事は「報道されるような事件がなかった、関心のある事案がたまたまなかったということでは」と反論していた。

 「このような状況ならもっと門戸を開いてはどうか。(過去の実績などハードルがあって)出たくても出られないフリーランスもいる」というジャーナリストの江川紹子氏の指摘に対しては「機会を見て、ということを考えている」と回答していた。

 公開後の東京地検の定例会見を「東洋経済オンライン」は初回からフォローしている。来週の定例会見は夏季休暇期間ということを考慮して非開催。次回は8月下旬の見込みだが具体的な日程は未定である。

     テーマ
 1回目 裁判員裁判制度の振り返り(6月10日)
 2回目 鈴木和宏検事正の就任会見(6月18日)
 3回目 振り込め詐欺(6月24日)
 4回目 ヤミ金事件の併料(7月1日)
 5回目 境徹特捜部長の就任会見(7月5日)
 6回目 陸山会事件に関する検察審査会議決、野球賭博事件の処理、裁判員裁判の罪名別起訴件数(7月15日)
 7回目 裁判員裁判の起訴・判決・今後の公判予定、いわゆる五菱会ヤミ金事件の外国譲与財産支給手続き(8月5日) 

(山田雄一郎=東洋経済オンライン)

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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