東京地検特捜部が日本振興銀行の木村剛元会長ら経営幹部4人を銀行法違反で公判請求

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東京地検特捜部が日本振興銀行の木村剛元会長ら経営幹部4人を銀行法違反で公判請求

東京地検特捜部が日本振興銀行の木村剛元会長ら経営幹部4人を銀行法違反(検査忌避)で公判請求した。公判請求されたのは以下の4人。

被告人氏名(よみがな)     現職     元職     生年月日   年齢
木村 剛(きむら・たけし)    会社員   元振興銀会長  62年5月2日 48歳
西野達也(にしの・たつや)   無職    元振興銀社長  55年9月3日 54歳
山口博之(やまぐち・ひろゆき) 会社員   元振興銀専務 61年7月22日 49歳
関本信洋(せきもと・のぶひろ) 会社役員 元振興銀専務 72年1月3日 38歳

略式請求や起訴猶予になったのは以下の者。木村被告、西野被告、山口被告、関本被告、渡辺被告は警視庁が身柄を拘束し拘留中。

略式請求
渡辺勝也(わたなべ・かつや)  会社員 元振興銀執行役 67年3月15日 43歳
A氏           被告会社社員 元振興銀上席執行役補佐      37歳
C氏               同上 同上               34歳

起訴猶予
B氏ほか1人       被告会社社員 非開示

東京地検によれば、09年6月16日~10年3月15日に実施された金融庁の立ち入り検査で、木村被告、山口被告、関本被告、渡辺被告、A氏、C氏は共謀し、検査前日の6月15日ころに検察官が閲覧する用のサーバ内のメールデータのうち、関本被告が送信したメール285件を消去したうえで、同年6月24日ころに検査官の閲覧に供した。金融庁は、検査対象となるメールを指示し、振興銀は指示されたメールを全てコピーしたうえで金融庁に提出することになっていたが、うち285件がコピーしたあとに消されていた。

また、木村被告、山口被告、関本被告、渡辺被告、A氏、C氏は、B氏ほか1人と共謀し、09年8月17日~19日ころ、A氏ほか3人の送信メール計438件を消去し、同年8月20日ころに検察官の閲覧に供した。

さらに、木村被告、西野被告、山口被告、関本被告、渡辺被告は共謀のうえメールデータの欠落に気づいた検察官から欠落の経緯を質問されたのに対して、09年9月11日ころ、メールデータの抽出作業時の事務担当者の過誤であると嘘を言うことで、検査を忌避した。

東京地検特捜部の畝本毅副部長は、これらの行為について、8月3日の記者会見で、「銀行法63条(個人の検査忌避)、同64条(法人の検査忌避の両罰規定)に加えて、共謀を禁じる刑法60条違反に当たる」と指摘した。メールはあくまでも送信1回を1件と数えたもので、同報送信を含めれば、「1000件は超える」(畝本副部長)。

木村被告が否認している一方、他の被告は容疑を認めていると報道されている点について堺徹特捜部長は「認否についてはお答えしていない。コメントを差し控えたい」とした。拘留中の5人の被告のうち渡辺被告のみ略式請求となった理由については、「関与の度合いや責任の重さなど諸要素から鑑みて差をつけてしかるべきと判断した」(畝本副部長)。木村被告が主導したかどうかは「証拠の中身に渡ることなのでこの時点で明らかにするのは適切ではない」(堺部長)。現段階ではメールの内容が違法と断定されたわけではなく、あくまでも検査忌避による立件である。

なお、社外取締役の赤坂俊哉弁護士が自宅で首をつって死亡していた件については、「(赤坂弁護士は)まったく捜査の対象になっていない。捜査の予定もなく、呼び出しもしていなかった」(畝本副部長)。東京地検特捜部だけでなく、警視庁の捜査の対象でもなく、捜査の予定もなかった。

(山田 雄一郎=東洋経済オンライン) 

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