「鬼滅の刃」TV版が映画と同じ内容でも納得する訳 全7話、日曜23時台放送に見たテレビ局の意識変化

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9月26日、フジテレビは日曜ゴールデンタイムの3時間特番で「ドリフ大挑戦スペシャル」を放送しました。この番組は「ドリフターズの名コントを再放送するだけでなく、ドリフを愛する芸能人たちが同じコントに挑む」という新たな試み。ファンからの反発というリスクがある中、おおむね好評だったのは再放送・再利用がうまくいったことの証しでしょう。

同様に「劇場版 鬼滅の刃」のテレビ放送15日後からテレビアニメ版が放送されているのも、制作サイドの意向だけでなく、フジテレビに「ほぼ再放送でも問題なし」と判断したことは間違いありません。ドリフとは多少意味合いが異なるものの「無限列車編」からも、「優れたコンテンツなら再放送・再利用していこう」という意識を感じてしまうのです。

みんなでつぶやきながら盛り上がる

ネットの普及によって生まれた「内容を知っているものを、みんなでつぶやきながら盛り上がる」という楽しみ方が定着したことも、再放送・再利用にとっては追い風の1つ。今後も自局番組に限らず、映画、アニメ、スポーツ、ドキュメンタリーなど、さまざまなジャンルの再放送・再利用が行われていくのではないでしょうか。

もしテレビアニメ版「無限列車編」の視聴率が下がったとしても配信や録画での視聴が多いため、ほとんど大勢に影響はないでしょう。どう考えても、盛り上がりを保ったまま12月の新シリーズを迎えることは間違いなさそうです。

最後にあらためて、放送されたばかりの劇場版をテレビアニメ版として放送している主な理由をまとめると……「テレビアニメとして全編のシリーズ化」「短尺化で見やすくする」「新作の前に視聴習慣をつける」「再放送・再利用による収益化」の4つ。新作追加映像や新主題歌など、制作サイドができる限りのファンサービスをしている以上、不満を漏らす人は「大人げないな」と感じてしまうのです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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