「ベテラン芸人の番組が終了しまくる」3つの理由 千鳥やかまいたち「第6世代」の台頭が始まった

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第6世代の芸人は、その上の世代に比べるとスマホやインターネットなどのデジタル文化にも理解があり、若者文化に対する適応力もある。第3世代から第5世代の芸人は、そもそもガラケー所持率が高く、InstagramやTikTokなどの若者文化についていけない人も多い。第6世代の芸人は若者に対して上から目線になることがないので、若い視聴者から嫌悪感を持たれる可能性が低い。

少し前、第7世代の芸人がちょっとしたブームになっていた時期には、テレビ局は若い視聴者を獲得するために第7世代の芸人を優先的に起用していた。だが、その試みのほとんどは失敗に終わった。単純に、芸歴が浅く経験の少ない第7世代の芸人は、実力の面で物足りない場合が多かったからだ。

くすぶっていた第6世代の逆襲

第6世代の芸人は、不遇の時代が長かった苦労人が多い。千鳥は2012年に大阪から東京に拠点を移したが、なかなか思うような結果を出せずに低迷期が続いていた。この時期はお笑い界全体に勢いがなく、同じようにくすぶっていた第6世代の芸人は多かった。

その後、ようやく上の世代の芸人の勢いが衰えてきたと思ったら、今度は下の世代にあたる第7世代の爆発的なブームが来た。「谷間の世代」である第6世代の芸人は長い雌伏の時を過ごしていた。

現在では完全に形勢が逆転して、第6世代の芸人ばかりが続々とテレビの最前線に繰り出している。千鳥、かまいたち、チョコレートプラネットといった先頭集団に続いて、昨年末の『M-1グランプリ』で活躍したマヂカルラブリー、ニューヨーク、見取り図といった新顔の第6世代の芸人も好調を維持している。

ずっと上の世代に押さえつけられ、第7世代ブームの頃には下の世代からの突き上げに遭っていた第6世代が、ようやく日の目を見るときが来たのだ。

(文中敬称略)

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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