未婚化の原因は「女性余り」という壮大な勘違い 50代前半までの人口で見ると「男性余り」の現実

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統計的には、生涯を通してみれば男女で結婚する意志の割合に大きな差はなく(2015年国立社会保障・人口問題研究所調査)、単に男性のほうが結婚したいと強く思う時期が女性と比べてかなり遅れるために、20代、30代の年齢で相談所に来るのは圧倒的に女性のほうが多くなり、相談員には男性のほうが一見焦っていないように見えてしまうだけ、ということが指摘できます。

筆者が九州の結婚支援者向けに「エリアの年齢別の男女の未婚者数」について講演をした際、「男性の方はすでに結婚していて、結婚できない女性ばかりが婚活イベントに来るのだと勘違いしていました! 女性余りだと思っていたんです。男性はそもそも婚活の土俵に上がらないで婚期を逃しているのに、産期もないので、いつかは結婚できると思っているとは……」と愕然とされていました。

そもそも結婚したい、したくないにかかわらず、絶対数で女性不足であるということを男性の結婚希望者や結婚支援者はよく理解しておいていただきたいと思います。

人口総数で見ると女性が多いワケ

そんなに男性が余っているのに、総数では女性が多いのか……という点について、図表2で確認しておきましょう。

本当に、女性は男性よりも長生きですね。50代からは男性のほうが女性よりも早くお亡くなりになっていく様子が図表からうかがえます。

そして80代以降ともなると、まさに「おばあちゃんだらけ」といった様相です。そういう意味では、女性は男性よりも「長生きリスク」に備えておかなければなりません。ただ、2015年の国勢調査結果から計算した「50歳時点で結婚歴のない人口割合」は男性は4人に1人ですが、女性は7人に1人ですので、長生きリスクに関して、子孫が面倒をみてくれる可能性は男性よりかなり高くなります。

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