こころの医療 宅配便 高木俊介著

こころの医療 宅配便 高木俊介著

京都を舞台に展開されるACT(包括型地域生活支援プログラム)、つまり統合失調症患者の訪問介護活動の記録と問題提起の書。精神病患者というと怖い存在だという先入観はいまだに少なくない。発症率は100人に1人と想像を超えて高い病気だが、日本は世界屈指の「精神収容所列島」で患者を軒並み病院に「軟禁」して自由を奪っている。

その背景にある医療関係者の思い込みや地域住民の偏見を受け止めつつ、24時間対応と訪問ケアで在宅患者と我慢強く向き合う医師、看護師たちのチームワークが生き生きと描かれる。前向きで明るいスタッフには頭が下がるし、症状が徐々に改善して、活動も持続可能となっていく過程には救われる。暗くなりがちなテーマでありながら軽妙な筆致で随所に微笑を誘う(患者の人たちの巧まざるユーモアゆえもある)。問いかけはすこぶる重いのにさわやかな読後感が得られるのはチームの使命感と達成感によるのだろう。(純)

文藝春秋 1750円

  

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