バレー柳田将洋が実践「勝負所で緊張しない」コツ 日本代表前主将のプレッシャーを力にする思考

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プロのバレーボール選手として活躍する柳田将洋さんに試合で力を発揮するコツを聞きました(写真:松尾/アフロスポーツ)
国内最高峰のバレーボールリーグ、Vリーグで「最優秀新人賞」「ベストシックス」を受賞し、海外リーグでもMVPを受け、2018年には日本代表のキャプテンにも就任した経験を持つ、プロバレーボール選手の柳田将洋さん。その持ち味は強烈なサーブです。彼は試合の勝敗を決する重要な局面や大きな注目が集まる試合でも、サーブを打つとき「まったく緊張しない」と言います。なぜプレッシャーゼロで、最大限の力を発揮できるのか。そのコツを語ります。
※本稿は柳田氏の新刊『努力の習慣化』を一部抜粋・再構成したものです。

プレッシャーを「日常化」させる

僕はプレッシャーを日常化させてしまい、いい意味で感じないようにしています。プレッシャーを感じない人はいませんから、とても必要な能力だと思います。

海外でプレーするようになってから、日々の練習をプレッシャーに感じることがあります。試合に勝つためには要求し合うことも必要なので、練習のときから他人のプレーに対して指摘をしたり、強い要求をしたりする人がいるからです。

それでも喧嘩になるのではなく、言い合うことでお互いの信頼関係を保つことにもつながっています。試合でセッターからアタッカーにトスが上がってくるかどうかは、練習で決まるのです。だからこそ、日々の練習からプレッシャーを感じるようになりました。

2019~20シーズンはフランクフルト(ドイツ)でプレーしましたが、トスが上がってくる時とこない時の差は顕著でした。フランクフルトは強豪チームで、勝ち負けに対してシビアな選手が揃っていたからだと思います。ただ、一度トスが上がるようになってくると、どの試合でもまんべんなく上がってくるのです。

僕が気にしていたのは、「25点マッチの20点以降でトスが集まってくるか」というところです。 20点以降は、1ポイントがダイレクトにそのセットの勝敗に直結することもありますから、決めてくれる選手にトスを上げたいというのが自然な心理です。言い換えれば、そこでトスが上がってくることこそ信頼の証。「ここぞの1本」が自分のところにくるかこないかに重きを置いていました。

そのためには、自分の得意な形をチームメイトに見せていて、チームメイトがそれを把握していることが重要です。あとは、練習中の態度から「できる」ということをコートで出していかなければなりません。不安そうな態度は伝播するので、見せないように心がけています。

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