イオンが子ども手当て支給にあわせ大規模セールを展開、既存店上向けば今期業績上振れも

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イオンが子ども手当て支給にあわせ大規模セールを展開、既存店上向けば今期業績上振れも

イオンは夏物消費の先取りと子ども手当関連需要の取り込みなどを狙って、恒例となった大規模な割引セールを開催する。6月10日から5日間に渡り、直営総合スーパー500店と系列ショッピングセンター(SC)の専門店2万2500店で一斉に展開。個人消費が停滞する中で、既存店売上高の減少が続いており、大規模な販促をかけて売り上げを底入れするのが狙いだ。

今回のセールはSC内の専門店も参加し、合計約2万3000店で実施する。対象となるのは衣料品やインテリア、生活雑貨。参加SC、GMS全体の売り上げで「前年同日比2割増かそれ以上が目標」(岡崎双一営業企画本部長)だ。3月に実施した同セールの実績1割増を超える売り上げ増をもくろむ。

イオンは同様のセールを昨年末に初開催。SC専門店までを巻き込んだセールは従来なかったため大きな話題となり、第1回は一部テナントで売り上げが前年同日比70%増となるなど、反響が大きかった。今回は7~8~月に本番を迎える夏物バーゲンの前にセールを行うことで、夏物消費を先取りする狙いもある。

また、6月に多くの自治体で支給が開始される子ども手当てにあわせた販促という側面もある。前回セール実施時に起用したタレントの木下優樹菜(=写真=)に加え、子ども手当てを意識し、子役の加藤清史郎も広告塔に据えテレビCM等でプロモーションを積極化する方針だ。千葉県茂原市など一部自治体ではすでに子ども手当が支給されたが、同地域のジャスコでは「修学旅行用などの雑貨や衣服の売れ行きが急増」(岡崎本部長)している。イオンは今セールをきっかけに、全国の子ども手当て支給に伴う消費の取り込みを狙う。

ただSC・GMS全館あげてのセールは今回で3回目。「同じ販促を繰り返しても、効果は7掛けで落ちていく」(岡崎本部長)ものだ。同セールに参加しているある衣料品専門店も、「12月に比べて3月はそれほど増収効果はなかった。今後は別の方法など工夫が必要になる」とセール効果の低下に懸念を示す。これに対してイオンは、各店にペット用品やイス、LED・エコ用品などの均一バーゲン売り場を設置するほか、電子マネー「WAON」(ワオン)での買い物時のポイント還元率の拡大などの別施策も同時に打ち出すという。

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