エプソン、好業績を引っ張る意外なプリンタ 競合が尻込みする市場で"うまみ"を独占

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2014年度第1四半期の決算会見に臨んだ濱専務

7月31日、決算発表会見に臨んだ濱典幸専務の表情は、終始にこやかだった。

それもそのはず。インクジェットプリンタ大手のセイコーエプソンが同日に発表した2014年度第1四半期(4~6月期)決算は、売上高が2462億円(前年同期比10.9%増)、営業利益が546億円(同7.4倍)という、極めて好調なものだった。

この数字には裏がある。同社は今年度からIFRS(国際会計基準)に移行した。その関係で、第1四半期は年金制度の改定に伴う費用の減少額(約300億円)が利益に上乗せされたなど、特殊要因の影響が大きかった。

それでも、売上高から原価や販売管理費を差し引いた事業利益(日本基準の営業利益に相当)は、前年同期比143.1%増の235億円と大きな伸びを見せた。

それでは何が足元の好調を牽引しているのか。その疑問について、濱専務はこう説明した。「(インクジェットの)大容量インクタンクモデルなどの数量増が増収につながっている」。

大容量タンク型が売れている理由

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新興国で売れている大容量タンクモデル。左側についているのがインクタンクだ

大容量タンクモデルは、交換式のインクカートリッジを使う一般的なインクジェットプリンタとは異なり、最初から大容量のインクタンクをプリンタ本体に備え付けたモデルだ。この製品をセイコーエプソンは新興国を中心に展開している。

2010年10月にインドネシアで発売して以来、売れ行きは右肩上がり。2013年度には、セイコーエプソンのインクジェット全体の2割に当たる販売台数270万台を記録した。現在では、世界130カ国まで販売エリアが拡大。2014年度は、販売台数をさらに6割増となる430万台程度まで引き上げ、全体に占める割合も3割まで高める計画だ。

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