あなたにも出来る! 社労士合格体験記(第9回)--ハローワークで社労士と出会う

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労働者災害補償保険法第33条は、「開発途上国にある地域に対する技術協力の実施の事業を行うために派遣する者」及び「日本において事業を行う事業主が派遣する者」が、加入の対象になると規定しています。ただし、日本側の事業が期間限定の「有期事業」の場合は対象外です。

休業でも、通勤でも、二次のボーナス

労災保険の特別加入としては、「海外派遣者」のほかに、「中小事業主等」と「一人親方等」があります。中小企業の事業主が特別加入するには、まず労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していなければなりません。労働保険事務組合は、労働保険徴収法第四章に規定されている、事業主に代わって労働保険事務処理ができる、厚生労働省の認可団体です。

事務組合が委託できる事業主の範囲は、原則、使用する労働者数が常時300人以下とされています。したがって、特別加入できる事業主の範囲も同様になります。そして、どちらも例外として、卸売業・サービス業を主たる事業とする事業主は100人以下、金融業・保険業・不動産業・小売業を主たる事業とする事業主は50人以下と規定されています。

一人親方等とは、個人タクシー・個人貨物運送業者、大工・左官など、属する団体はあっても、「労働者を使用しないで事業を行うことが常態」の自営業者及びその家族です。一人親方等は、その団体が適用事業主とみなされるため、団体の構成員でなくなった場合は、その時点で特別加入者ではなくなります。

社労士試験でよく問われるのは、特別加入者には休業補償給付の賃金喪失要件がなく、通勤災害の一部負担金は徴収されず、二次健康診断等給付は行われず、ボーナス特別支給金はないという、独特の保険給付の特徴です。語呂あわせで「休業でも、通勤でも、二次のボーナス」と覚えましょう。

さて、委託職業訓練の選考結果は次回のお楽しみです。

【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】

翠 洋(みす・ひろし)
1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。現在は、職業訓練講師として「人事労務基礎科」「基礎演習科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」。

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