報徳会宇都宮病院の「入院治療」あまりに驚く実態 各種専門家から厳しい指摘、山のようなクレーム

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宇都宮市は取材に対して、「(朝信医師の申出書については)国や県等と対応に向けた協議を複数回行ってまいりました。令和3年(2021年)度においては個別指導を実施計画の一環として実施し、医療扶助の実施状況を確認することを予定しております。(医療扶助・人権ネットワークの要望書については)平成27年(2015年)1月に個別指導を実施しましたが、病院に対する問題点は見受けられませんでした」と回答した。

報徳会回答「それはまったくの誤りです」

こうした一連の問題について、報徳会宇都宮病院はどう答えるのか。6月下旬、東洋経済からの取材依頼に対して、鈴木三夫院長名で下記のとおりの回答書が届いた。

東洋経済の取材依頼に対して、報徳会宇都宮病院から鈴木三夫院長名で届いた回答書(記者撮影)

「(朝信医師の記者会見における指摘事実について)(地元紙の)下野新聞における報道でしか存じ上げておりません。2015年及び2018年に宇都宮市から個別指導のために来訪を受けたことは確かですが、『指定医療機関個別指導結果通知書』を受けたのは2018年のみで、指導結果として改善を求められたのは生活保護法に関する『レセプトの傷病名と入院要否意見書の傷病名に整合を持たせること』のみでした」

「朝信医師が宇都宮市の個別指導に立ち会われていたことは確かですが、朝信医師のご見解と、それを受けた宇都宮市の客観的判断に差異があったのかとしか申し上げようがありません」

「(医療扶助・人権ネットワークの指摘事実について)当院では提出された書面を拝見しておらず内容も存じ上げておりません。しかし『石川文之進社主の独断で治療方針が決定されている』との指摘があるとすれば、それは全くの誤りです」

「患者様の治療方針の決定に際しては、第一義的に主治医、担当医が方針を決定し、入院診療計画書に基づき患者様あるいは親族の方等に説明をし同意をいただいております。そして各大学精神科教授級の医師によるカンファレンスを通じ、治療方針の是非または見直しを図っており、『石川文之進社主の独断で治療方針が決定されている』との事実はありません」

「(報徳会宇都宮病院事件について)かつての過ちの反省の上に、患者様の人権を第一に考え治療行為に当たることは当然のことです。しかしながら、35年以上前の事件により、あたかも当院が現在においても何も変わらず人権侵害行為を行っているかのように万が一にもお考えになっているとすれば、それは全くの誤解と申し上げるしかありません」

「当院といたしましては、患者様の人権擁護を第一に考えて実践することを心がけており、今後も、患者様にご不安やご心配を与えないようより一層配慮させていただくとともに、誤解を招くことがないよう患者様の治療と患者様の自立した地域移行を進めてまいりたいと考えております」

この両者の回答からうかがえる、報徳会宇都宮病院と宇都宮市の密接な連携関係は、「35年以上前の事件」である、報徳会宇都宮病院事件時と、まるでうり二つだ。

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