KDDI田中社長、「僕の計画をすべて話そう」 シリーズ「これからの通信」 KDDI(前編)

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――800MHz帯を中心に全国展開しながら、トラフィックが厳しい地域について2GHz、それでも足りなければ1.5GHz、という具合にレイヤを重ねていくということですね?、

いや、我々がエリア構築の基礎としているのは800MHz帯だけではありませんよ。2GHz帯もエリア構築の基礎として重視しています。まだ新基準での人口カバー率が出ていないのですが、800MHz帯は旧基準ベースの計算で99.1%。年内にはさらに引き上げます。では2GHz帯のカバー率は、というと、実はこれ、本邦初公開の数字なんですが88.8%まで来ています(7月末時点では90%を突破)。もちろん、まだエリアは拡大させていく計画です。なぜなら、キャリア・アグリゲーションを使った高速サービスを全国展開したいからです。

ちなみにエリアの数字ですが、新基準でも旧基準でも、KDDIの場合はほとんど変わりませんが、若干、新基準の方が広くなります。たとえば800MHz帯の人口カバー率を新基準で計算すると99.2%ぐらいになる見込みです。1.5GHzのカバー率も出せと言っているんですが、今日の時点では間に合いませんでした。しかし、やはりキャリア・アグリゲーション対応を見据えれば、1.5GHzのエリアもそれなりに作っていかねばなりません。

さらにはWiMAX2+の存在も忘れてはなりません。WiMAX用基地局は、とりわけ都市部のデータトラフィックが多い地域に集中的に基地局を打ち込みました。エリアの広さを重視していないわけではありませんが、よりトラフィックを捌く能力を重視しています(注:田中氏はWiMAXサービスを運営しているUQコミュニケーションズの初代社長を務めていた)。

225Mbpsのサービスを近々投入

――そうした意味では、今後さらにデータ通信の混雑度が高まってきたときに、よりWiMAX重要性が高まってきそうですね。基地局確保やバックホール回線(基地局のデータ通信を流すための固定通信回線)の共有などで、UQのWiMAX基地局設置をかなり後方支援しているのでしょうか?

基地局の場所という意味では、同じ場所を確保している場合もありますが、別の場所のほうが多いです。UQが主に使っているのは、実はツーカーセルラーが確保していた基地局ですから。周波数も違っていますし、あくまで別々の会社です。

――その次は、各周波数帯の基地局をまとめて高速にする「キャリア・アグリゲーション」が帯域確保の上で重要になっていきます。

キャリア・アグリゲーションを意味のあるものにするためには、どの周波数帯のカバー率も、ある程度以上まで引き上げないとダメなんですね。もちろん、特に混雑している地域は優先されるのですが、順番には対応しなければならない。しかし、ひとつのエリアで使える周波数帯が増えれば増えるほど、どんどん帯域も広がる。そのため、たくさんのLTEを入れることができる。近々始めるサービスとしては225Mbpsという超高速のサービスもあります。

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