揺らぐタイの“国体” 

反政府行動制圧も、政情不安は深刻化

タイの首都バンコクで2カ月あまり続いた反政府活動は、結局、タイ治安当局が力で封じ込め、解散。収束に向かっている。

反政府活動の中心となった、タクシン元首相支持派の「反独裁民主統一戦線」(UDD)は、この掃討作戦で占拠していたバンコク中心部から完全に排除された。市内は日常生活に戻りつつあるが、この反政府活動に参加していた一部市民が散発的な争乱を引き起こしており、完全な正常化にはまだ時間がかかりそうだ。

いずれにしろ、今回の鎮圧で死者15人を含む100人以上(タイ政府発表)の死傷者が出た。また、日本人カメラマン1人を含む825人の死傷者を出した4月の鎮圧作戦と合わせると、被害の規模は甚大なことにタイ国民は大きなショックを受けているようだ。

一方、”東南アジア諸国連合(ASEAN)の雄”として、日系企業など経済的集積も高いタイの今後の経済運営に注目が集まっている。

バンコク市内に拠点を構える日系企業も、特にUDDがオフィス街を中心に占拠を続けていたため、運営上の支障が出ていたのは確か。最後の鎮圧作戦が行われた5月19日を前後して、占拠地域周辺の出入りが厳しく制限されたこともあり、オフィスの一時移転を強いられた日系企業も少なくなかった。

掃討作戦前の5月13日、日本貿易振興機構(JETRO)とバンコク日本人商工会議所が実施した在タイ日系企業を対象にした緊急アンケートでは、「業績に影響がある」と答えた企業がほとんど。回答企業数は16社と少ないものの、営業休止や営業時間の短縮や社員の自宅待機、この期間への賃金支払いなど資金繰りの悪化などで影響が出ていることがわかる。

とはいえ、マクロ的には影響は大きくなさそうだ。これは、抗議活動がバンコク中心部とはいえ一部分に限定されたため、生産工場が建ち並ぶバンコク郊外など地方にまで波及しなかったこと、同時に港湾・空港などのインフラなども通常業務だったためだ。

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