テクニウム、衝撃の利己的なテクノロジー

Wired創刊編集長が描く「テクノロジーが望むもの」

Kevin Kelley(1952~) speaking at the Long Now Foundation in San Francisco, CA, 2011(from wikipedia)

もしも地団駄というものが踏めるものであるのなら、この一冊を読みながら踏んでみたいと思う。

原題は『What Technology Wants』=テクノロジーの望むもの。テクノロジーの歩みを『種の起源』のように捉え直すという束ね方に独創性があり、これまでに見聞きしてきた様々な知識が一本の線でつながるようなダイナミズムに満ち溢れている内容だ。おかげで、本が本を呼ぶような深みにはまってしまい、関連書籍から逃れられなくなってしまったほか、一体、これまで自分はその手の本の何を読んでいたのだろうかとショックを受け、何もかもを一から学び直したい気持ちになった。

幅広いテクノロジーを網羅

一口にテクノロジーと言っても、本書で取り扱う対象は非常に幅広い。Facebook、Googleといった昨今のネット上のものから、電信・電話、言語や法律、石器、火の使用といった太古のものまで。日頃、その存在を意識しないほど浸透しきったものであればあるほど、テクノロジーと捉えることの面白みは増してくる。時間軸で追うことによって、一つのテクノロジーはさらに多くのテクノロジーを自己生成という方式で生み出してきたということがよく分かるのだ。

アルファベット、蒸気ポンプ、電気といった突破口となるテクノロジーは、本、石炭採掘、電話といったさらなる突破口を見出す発明につながった。さらにこうした進歩が図書館、発電所、インターネットといった突破口を生み出していく。各ステージにおいて、それ以前の発明の良いところを残したまま、さらなる力を加えてきた様子が伺える。

このようなテクノロジーの連なり、すなわち超個体としてのテクノロジーこそが、本書の邦題にもなっている「テクニウム」というものを指す。

次ページ生物学的アプローチ
関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。