「人脈作り」に躍起な人が恐ろしく的外れな理由 ビジネスにおける「人脈」にもう価値はない

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ビジネスで成功するためには、これからは「人脈づくり」よりも「ネットワークづくり」が大事であるようです。「ネットワークづくり」とは何でしょうか? (写真:cba/PIXTA)
従来ビジネスで成功するためには「人脈」が必要であると主張されてきました。しかし、これからは「人脈づくり」よりも「ネットワークづくり」が大事であると、リンクトイン日本代表の村上臣氏は言います。
「ネットワークづくり」をすれば、業界を超えてプロジェクトを立ち上げたり、転職したりするチャンスがどんどん増えます――『転職2.0』の著者であり、「キャリアのオピニオンリーダー」として活躍する同氏に、「ネットワークづくり」とは何かを聞きました。

大きく市場価値が高まるのは「別のつながり」に移るとき

転職をするときに限らず、ビジネスで成功するためには人脈が必要であるとこれまでは言われてきました。

「人脈」という言葉から私が思い描くのは、狭くて深い人間関係であり、人間同士が濃厚につながっているムラ、といったイメージです。代表的なのは、同期の仲間や同じ大学の先輩後輩、同級生、飲み友達など、気心の知れた強いパイプです。

これに対して、私はこれからの時代に重視する人間関係を「ネットワーク」という言葉で提示したいと思います。

ネットワークとは「人脈」よりももっと広く浅い、友達の友達の友達くらいまで含まれるゆるやかなつながりのこと。中には、直接一緒に仕事をしたことがない人、同じ組織に属したことがない人も含まれます。

深くは知らないけどお互いに何となく興味がある、同じ業界にいてお互いの存在を認知しているなど、「リアルに会ったことはないけど、メッセージのやりとりだけはしている」のがネットワークの代表例です。

人脈は「強いつながり」、ネットワークは「弱いつながり」と言い換えることが可能です。「弱いつながり」については、学術的に研究した論文も多数発表されています。

有名なものに「シックス・ディグリーズ理論」というものがあります。これは、1960年代に心理学者のスタンリー・ミルグラムの実験によって示されたものであり、「世界中の人は6人の友人や知人を介せば、間接的に知り合いになれる」という仮説です。

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