コロナ「医療逼迫」に「国民が我慢せよ」は筋違い 森田洋之医師が語る「医療の不都合な真実」

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――新型コロナという感染症について、最近は再び患者数が増えているので、テレビ、新聞は盛んに危機だとあおっています。森田さんはどう見ていますか。

超過死亡という統計があります。感染症の流行や大きな気候変動などによって、平年の死亡者よりも増えたかどうかを見るものです。2020年の年間死者数は138.4万人で前年よりも9300人減りました。高齢化で死亡者数は年々増加していたのに、11年ぶりの減少です。特に、死因別に見ると肺炎は毎年10万人死ぬんですが11月までの数字でむしろ前年の同じ期間より1万5000人減っています。一方で、欧米では死者数が例年よりも大きく増えました。

日々の報道に一喜一憂せず俯瞰的な視野で捉えて

人口比で見た感染者数も死者数も欧米に比べると圧倒的に小さくて、それらから見れば日本の第1波も第2波も第3波もさざ波に見えます。 いま、ワクチンでイスラエルやイギリスがものすごく被害が減ったと大喜びして、パブなど再開していますね。でも、まだ日本よりも死者は多いんです。ちなみに、死者数で見ると、日本、中国、韓国、台湾、これがすべて欧米より数十分の1~数百分の1の数字ですが、これが4回出るって天文学的な確率です。これは交差免疫など何らかの免疫学的機序が関与している可能性が高いと思います。

そしてこれは、変異株でも基本的に変わらないとみています。もちろん、今後の推移には注意していかなければいけませんが、毎日の「感染者〇〇人」「〇〇以降最高」といった情報にもまして、こうした俯瞰的視野で物事を捉えながら推移を見てほしいと思います。

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