「6月15日にはコロナ収束」ハリウッドの現在地 州民の37.7%が最低1回ワクチンを接種済み

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「普通」になることで戻ってきそうなことのひとつには、レッドカーペットもある。

ロサンゼルスとニューヨークでずっと映画館が閉まりっぱなしだったこの1年は、ハリウッドの新作が劇場公開されず、したがってプレミア試写会もなかった。記者たちがぎっしりと並んで立つプレミアのレッドカーペットは非常に密で、コロナ禍の中では断然タブーだ。しかし、日常になる6月15日以降は、再びそんな様子も見られるかもしれない。

授賞式も同様。この1年、エミー、グラミー、ゴールデン・グローブなどはすべてバーチャル形式で、候補者やプレゼンターはリモートで参加し、受賞スピーチを行ってきた。それがつまらないからか、レッドカーペットもなくて華やかさに欠けるからか、あるいは単に視聴者が授賞式番組により興味を失っているからか、これらの視聴率はガタ落ちしている。

それを避けるべく、今月末のアカデミー賞は、候補者に、リモート参加ではなく、今年の本会場となるロサンゼルスのダウンタウンにあるユニオン駅か、パリとロンドンに設けられる別の会場に実際に出席してほしいと呼びかけている。

まだまだ不安もあるが…

その方法をもっても、普段のような活気が出るのかどうかはわからない。

だが、幸いにも、この特別のやり方は、今年だけで終わりそうである。6月15日に日常が戻り、その後も世界各地でワクチン接種が進んで世界的に感染者が減っていけば、来年は、昨年までのように、候補者が飛行機に乗ってハリウッドまでやって来られるだろう。

もちろん、この後、事態がまた悪いほうに向かう可能性はある。ワクチン接種が進むに伴い、最近アメリカでは国内旅行の需要が急増している。

エアラインは国内の路線を拡充し、新たにパイロットを雇っているほどだ。そんな中では、感染拡大している一部の州からまたカリフォルニアにウィルスが入ってくることもありうる。

しかし、今、カリフォルニアのムードは、とても明るい。ニューサム州知事も、「トンネルの向こうに明かりが見えただけではない。ものすごく眩しい明かりが見えている」と言っている。この希望を現実にするためにも、気を抜かずに頑張りたいところだ。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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